2024年、Tokyo Art Beatは設立20周年を迎えます。この記念すべき年と、これまで/これからのアートシーンを祝福すべく、ユーザーの皆さんから「ベスト展覧会」を募るアワード企画とオンラインイベント、そして特集記事が進行中。
シリーズ「20年間のベスト展覧会」では、アートやカルチャーシーンで活躍する方々にTABがスタートした2004年から24年6月までに開幕した展覧会のなかで、記憶に残るものを1〜3点教えてもらいます。極私的な思い出から、現在の仕事につながる経験まで……展覧会にまつわるエピソードとともにお届けします。【Tokyo Art Beat】
2015年、終戦から70年の節目の年に開催された本展は、所蔵する藤田嗣治作品をコレクション展で見せるという完璧な建前のもと、戦争画を公開する機会としても機能していた。どこにも角が立たないのに、どこまでも尖っていた。コレクション展でここまで挑戦的な展示ができるのか、と感嘆した。
開催時は愛知県立芸術大学の学生だった。出品作家が「先輩」ということで、勝手に親近感をもって鑑賞したのを覚えている。ひとりの「先生」を起点に、作家たちが系統樹のように有機的につながる様が示されていた。展覧会の場を通して、ある種の感覚や価値観が世代を超えて共有されることを体感した。
勤務先で企画した、高知出身の画家・竹﨑和征の個展。ある展覧会が、作家のその後の人生を変えることがある。この個展は竹﨑の制作上の転機となり、その後の躍進に影響を与えた。作家の作風が深化する過程を間近で見た経験は忘れがたく、学芸員として大きな喜びだった。
高知県立美術館と三鷹市美術ギャラリーで共同企画した展覧会「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」(2022〜23年)に関するTokyo Art Beatの詳細なレポート記事を読んで、合田作品の魅力、そして企画側の意図や思いが伝わったと感じ、たいへん励まされました。
Tokyo Art Beatはアートメディアのなかでも女性作家、フェミニズム、クィアといったテーマを積極的に取り上げた記事が多い印象で、まさに時代のニーズに応えていると思います。これからも編集部の方々の鋭い視点に期待しています。
*「Tokyo Art Beat」20周年を記念するアワード企画と特集を実施! ユーザーみんなで20年間の「ベスト展覧会」を選ぼう。
詳細は以下をご覧ください。読者の皆さんの推薦(終了)・投票(7月半ば開始)をお待ちしています!
塚本麻莉
塚本麻莉