会場風景
東南アジアに特化したアートフェア「アート・ジャカルタ」。インドネシア・ジャカルタのJIExpo Kemayoranで「アート・ジャカルタ 2025」が開幕した(10月4日、5日。3日はVIPのみ)。
「アート・ジャカルタ 2025」には、東南アジアを中心に16ヶ国から75のギャラリーが参加し、国内外のアーティストと作品が一堂に会した。会場では大型インスタレーションや特別ブースなど、多彩なプログラムが展開された。
今年もインドネシアを中心に東南アジアを軸としつつ、国際交流と地域間の表現の対話を意図した構成が目を引いた。なかでも注目すべきは、新たに設けられた「KOREA FOCUS」セクションだ。
「KOREA FOCUS」は韓国文化体育観光部および芸術経営支援センター(KAMS)との協力によって運営され、インドネシア国内外の来場者に韓国の現代アートとの直接的な出会いを提供する意図がある。このセクションでは、12の韓国ギャラリーが参加している。
出展ギャラリーのひとつ、海外のアートフェアへの参加は初めてだというOUTHOUSEのディレクター アンブー(Anbuh)になぜアートジャカルタに参加したか話を聞いたところ、「韓国は小さい国なので、アートを受容する人数に限りがある。国内だけでなく機会があれば国外の可能性を探りたいと考えています。東南アジアの大きな可能性であるジャカルタにはチャレンジしたいと思っていたので、この機会に参加できてうれしいです」と答えが返ってきた。
また台湾のギャラリーYIRI ARTSは今年ジャカルタ支店を立ち上げたばかり。ディレクターのオートン・ファン (Orton Huang)は進出の感触を「始まったばかり」としつつ、ジャカルタを選んだことは「未来への可能性を考えると良い選択」と述べた。
フェアの主用パートナーには、スイスのプライベート銀行ジュリアス・ベア(Julius Baer)やインドネシアの大手民間銀行のひとつであるBCAといった企業が名を連ねており、彼らは出展作品にも深く関わっている。
例えばBCAの公式オンライン・モバイルバンキング「myBCA」 は、1993年生まれのアーティスト、マックレイ(Muklay)のアイコニックなキャラクターとコラボレーションしている。マックレイが描くキャラクター、シ・ジャブリック(Si Jabrik)が「myBCA」を使って、人生の節目や世界各地を旅する体験ができるインタラクティブスペース 「Petualangan Si Jabrik di Dunia myBCA」 が登場した。
一見お堅いイメージの銀行がなぜ若手のアーティストとコラボレーションしたかBCAの担当者に取材したところ、金融サービスをテーマに多彩なアクティビティを通じて、アートと日常をつなぐ新しい体験を来場者に体験してほしい、アーティストの自由度が高い発想にその可能性を見ているとのことだ。比較的に堅い企業が軽やかに若者に可能性を託す会場ではコラボ限定のオリジナルグッズも入手できる。
アートフェアは作品を購入するだけが楽しみではない。バイク・アートギャラリー(BAIK ART GALLERY)では、インドネシア在住のアーティスト、メラ・ジャルスマ(Mella Jaarsma)による新作パフォーマンス 「Kakies on a Broken Floor」(2025)が毎日開催される。インドネシアの特産品であるバティック文様を刻んだ木靴の足跡が、動きと記憶、抵抗の痕跡を刻み込み、パフォーマンスを通じて過去と現在を結びつけていく。
そのほかのパフォーマンスや、会場の様子、作品はTokyo Art BeatのInstagramをチェックしてほしい。