去る10月27日、Tokyo Art Beatでは、ベルトラン・ラヴィエ「Medley」展関連ワークショップとしてやんツーによる「知覚(と意味)のコラージュ制作」をエスパス ルイ・ヴィトン東京と共催しました。
総勢50組ものご応募をいただき、ありがとうございました。
泣く泣く抽選とさせたいただきましたが、おかげさまで元気なお子さんも多数で盛況なワークショップとなりました。その一部をフォトレポートいたします。
アーティストとしても活躍するやんツーを講師に招き、身近な日常品を使って、乳幼児と大人が共同で作品制作に取り掛かりました。
まずは今回の会場でもあるエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されているベルトラン・ラヴィエ展の会場へ。
今回のワークショップの参考になったのが、こちらの立体作品。会場スタッフからの「これはなんでしょう?」という問いかけに月齢の高いお子さんも大人も首を傾げつつ、「冷蔵庫?」の答え。
実は業務用の冷凍庫に、ソファが乗ったもの。ソファはもとはダリが作ったものがデザインになっている市販のものです。いずれも既成品ながら、存在感ある見た目で彫刻としての台座の概念をひっくり返してしまう作品でした。
日常的にありふれた「モノ」に手を加えたベルトラン・ラヴィエを読み解けるのか? 鑑賞した勢いのままワークショップへ。
ここで講師のやんツーから、マルセル・デュシャンの《泉》や、ロバート・ラウシェンバーグのコラージュ作品、もの派などに触れつつ、オリジナルの「乳幼児美術」の定義が。
今回制作する乳幼児のための遊具は、大人にとっても興味深く、価値のある絵画的美術作品になるという二面性を持っています。乳幼児には見た目や触った感触などの知覚に、大人に対しては意味的に作用する、なので「知覚」と「意味」のコラージュとなっているということです。
冷凍庫とソファを組み合わせてまったく別ななにかを平面上で落とし込めるのか……参加者が試されるところです。
今回の作品に使われる素材が並びます。色とりどりで、いかにも日用品なものから、電卓や光る素材、さらには大人には見覚えがありすぎる領収証まで! お子さんが触りたがるものを選んでもよいし、親のセンスでもよいという形式になっていました。
親子で選んだ素材をボードの上に並べ、構図を考えます。決まったら、キリで穴を開けたり、両面テープを使いながらいざ制作に取り掛かります。お父さんがいる組はかなり工作に力が入っていました。
お子さんも素材選びに挑戦したり、カラフルな素材にはしゃいでいます。
最後にいくつか完成作品をご紹介します。
こちらはメガネケースを昆虫の目に見立て、太陽と草など色から想起させる平面に。
2歳のお子さんが選んだ構図は、講師からすると「僕にはこの並び方はできません!」との評価が。今回の大人の参加者は軒並み良くも悪くもバランス感覚に優れていた構図だったそう。
こちらは今回一番の労作かも、という作品。なぜか上部にかたよっていますが、フタを開けると……
下にそれぞれこぼれ落ちるという仕掛けになっています。平面ながら重力を意識させつつ、乳幼児としても出してしまうという行為は楽しそうです。
こちらは私が飛び入り参加でつくったもの。主に娘が選んだ素材を、掴むと動きが出るように「ニコイチ」で組み合わせています。ただし、途中で結束バンドが外れ、やんツーからは「作りが甘い」とのダメ出しが。
それぞれの作品は飾るもよし、一緒に改良しつつ遊んでみるもよし。参加できなかった方も、ぜひオリジナルの「乳幼児美術」をご自宅で作ってみては。既成品とアート、乳幼児とアートの関わりについて思いを巡らせてみるのも楽しいはず。
■開催概要
ベルトラン・ラヴィエ 「Medley」 Works from the Collection
開催期間:2018年4月19日(木)〜2018年11月4日(日)※終了済み
休館日:ルイ・ヴィトン表参道店に準ずる
開館時間:12:00〜20:00
開催場所:エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道店 7階)
入場料:無料
公式ウェブサイト:http://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/
Photo: Naoki Takehisa