コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」(東京国立近代美術館)会場風景より、左から伊原宇三郎《特攻隊内地基地を進発す(一)》(1944)、宮本三郎《萬朶隊比島沖に奮戦す》(1945) 撮影:編集部
(A)「コレクションを中心とした特集 記録をひらく 記憶をつむぐ」(東京国立近代美術館)
(B)「玉山拓郎:FLOOR」(豊田市美術館)
(C)SIDE CORE 「Living road, Living space | 生きている道、生きるための場所」(金沢21世紀美術館)
今年は「終戦」というよりも、本来は敗戦から80年というべき年だが、その記憶をすっかり忘れ、再び隣国との好戦的な雰囲気が日本全体を覆いはじめた。だからこそ、多くの戦争画を一堂に集めつつ、メディアとの関係を視野に入れて、その背景を分析した東京国立近代美術館の試みは重要だった。当然、近代の戦争はあらゆるものを巻き込むから、写真、壁画、版画、漫画、雑誌、音楽、文学、建築など、様々なトピックにも触れている。なお、韓国では「光復」80年に関連する展示をいくつかみたが、残念ながら、日本において建築の分野では、戦争と関連づけた展示は企画されなかった。

個人的にアート作品による美術館への建築的な介入に関心をもっているが、玉山拓郎の展示は、ど肝を抜かれた。2、3階の5つの展示室を使いながら、これらを横断するたったひとつの黒い連続体しか存在しない。やがて図と地が反転することで、改めて谷口吉生の空間も強く意識することになった。

SIDE COREの展示は、金沢21世紀美術館にストリートの感覚を持ち込む、痛快な展示である。もともと公園のような開放的な空間をもつ美術館だが、そのポテンシャルをさらに切り拓く内容だった。彼らにとって、3.11での気づきが重要な意味をもち、能登と美術館をつなぐプログラムを展開していることも興味深い。

*年末特集「2025年回顧+2026年展望」は随時更新。
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