あかみち 効き出汁うどん(630円)、カモ醤油うどん(1000円)、天ぷら各種 撮影:筆者
アート好きには食好きが多い(気がする)。遠出して美術館に行くなら、美味しいものも楽しみたい。逆に、美味しいものを目当てに訪れた場所で、美術館にも立ち寄りたい、ということもあるのではないでしょうか。
本シリーズ「美術館 学芸員の昼メシ」(略して #美メシ)では、全国各地の美術館で勤務する学芸員やスタッフの方々に、「うちに来たらここに寄れ!」という、とっておきのお店を教えてもらいます。ランチに限らずお茶や夕飯におすすめのカフェやレストランも登場するかも。
今回は、瀬戸内国際芸術祭の会場とも近い、香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館キュレーター、竹崎瑞季さんが登場です。 【Tokyo Art Beat】
香川と言えばの名物、うどん。シンプルなかけうどんひとつでも、店によって麺のコシや出汁の風味がまったく異なり、香川の人はそれぞれに推しうどんがあると思います。私もオススメしたいお店がありすぎるのですが……今回は「あかみち」さんをご紹介します。
化学調味料無添加のこだわり抜いた出汁と、お店で練り上げるモチモチでツルツルな食感の手打ち麺。まずは「かけ」「ぶっかけ」「つけ」の3種を食べ比べできる「効き出汁うどん」をぜひ。また、その時々の食材を使った季節限定メニューもオリジナリティに溢れています。写真の「カモ醤油うどん」や6月限定の「すだちとくとく」など、どれも絶品です。車が必須な場所で、もちろん行列も必至ですが、わざわざ旅の目的地にする価値アリの名店です。
そのほかにも、丸亀にはうどんの名店がたくさんあります。公共交通機関で来られる方には、美術館から歩いて行ける「麺処 綿谷」さんや「石川うどん」さんもおススメです。
本格手打 あかみち
📍香川県善通寺市与北町1014-4
🐾美術館から車で15〜20分
🚃丸亀垂水線 バス停「願誓寺」から徒歩12分
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うどんでお腹を満たした後は、さっぱりとしたドリンクを。美術館の南側には「こんぴらさん」への参拝道として、かつて全国各地からの旅人が歩いた「金毘羅街道」が残っています。そしてこの旧道沿いのビルの一角に、レモネードの専門店があります。店主の方は、香川のうどんに魅了されてわざわざ埼玉県から移住してきたという驚きの経歴。香川県三豊市の特産レモンを使ったレモネードやコーヒー、チーズケーキを扱っています。
驚くべきはレモネードのフレーバーの多様さで、なんと20種類以上のメニューが存在しています。ジンジャーレモネード、オレンジレモネード、ティーレモネード、あるいは意外な組み合わせがクセになるエスプレッソレモネードなどなど……。私のお気に入りは香川県の特産である本鷹唐辛子を使った、ほんのりピリッとした味わいのスパイスレモネード。ヨーグルトのような風味のミルクレモネードも飲みやすくて、デザート代わりにオススメです。
TANGIERS CAFE(タンジールカフェ)
📍香川県丸亀市南条町1-1 丸亀ビル1F
🐾美術館から徒歩2分
🚃丸亀駅から徒歩4分
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おいしいものは美術館の中にも。オリジナルのブレンドコーヒーやフードでリラックスできる場所は、美術館での鑑賞体験に欠かせません。当館3階にある「カフェMIMOCA」では、瀬戸内や四国の季節ごとの食材を使ったランチやスイーツが楽しめます。店内に飾っている猪熊弦一郎の絵画作品は、いつ来ても新たな作品と出会えるよう、当館のキュレーターが選んで展覧会ごとにかけ替えています。
現在の企画展は、猪熊弦一郎と著名なアーティストとの交流や建築家との協働、デザインの仕事、そこから生み出された文化的所産に焦点を当てた「猪熊弦一郎博覧会」(7月6日まで)。また、谷川俊太郎さんの言葉が綴られた絵本をもとにした常設展「いのくまさん」も同時開催中です(7月6日まで)。瀬戸内国際芸術祭の夏会期が始まる8月には、大竹伸朗さんの当館での12年ぶりの個展「大竹伸朗展 網膜」も開幕します。展覧会とおいしいもの巡りをあわせて、ぜひ丸亀にお越しください。
カフェMIMOCA
📍香川県丸亀市浜町80-1 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館3階
🐾美術館から徒歩0分(美術館内)
🚃丸亀駅から徒歩2分
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竹崎さんが次の案内人に推薦するのは、開館5周年を迎えた青森県の弘前れんが倉庫美術館館長の木村絵理子さん。どんなグルメが飛び出すのか、どうぞお楽しみに!
竹崎瑞季
竹崎瑞季