八角 〜メシと喫茶ハチカク〜 トンテキ
アート好きには食好きが多い(気がする)。遠出して美術館に行くなら、美味しいものも楽しみたい。逆に、美味しいものを目当てに訪れた場所で、美術館にも立ち寄りたい、ということもあるのではないでしょうか。
本シリーズ「美術館 学芸員の昼メシ」(略して #美メシ)では、全国各地の美術館で勤務する学芸員やスタッフの方々に、「うちに来たらここに寄れ!」という、とっておきのお店を教えてもらいます。ランチに限らずお茶や夕飯におすすめのカフェやレストランも登場するかも。
今回は黒部市美術館 学芸員の尺戸智佳子さんが登場です。【Tokyo Art Beat】
*黒部市美術館で開催中の「川内理香子 The shape of water hardens into stone.」の詳細はこちら
「せっかく富山に来たならお魚が食べたい!」ということで、あまりご案内の機会がなかったのですが、地元の美味しいものが詰まった大人気の定食は「八角 〜メシと喫茶ハチカク〜」のトンテキ定食。少し時間があるときのお楽しみ、ひとりランチスポットのひとつです。
たらふく食べるぞ! という気合と共に入店します。地元の甘口醤油がベースのタレに、外側を少しカリッとさせた柔らかいトンテキと、山盛りキャベツをからめて食べます。その横にそっと添えられているマカロニサラダにも地元の美味しいかまぼこが入っていて嬉しいです。名水の里 黒部産のコシヒカリと、富山名物とろろ昆布の味噌汁でほっこりする、幸せの無限ループです。
そして、食べ終わったお皿に見える「アリガトウ」の文字に合掌してしまう、黒部の愛がつまった定食です。休日は順番待ちの列がついていることが多そうですが、とってもお腹が空いているときに、ぜひ来店してみてください。


八角 〜メシと喫茶ハチカク〜
🗓️水〜金
📍富山県黒部市宮野723-3
🐾黒部市美術館からバス約1時間、車約13分
🚃富山地方鉄道本線 「舌山駅」から徒歩約28分
公式サイト
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黒部市の海沿いの地域は湧水が豊富です。その冷たい水で引きしめてから食べる「水だんご」は、米粉と片栗粉だけで作られた黒部市生地の郷土の味。鶯色のきなこがかわいくて、もちっと美味しいお団子です。夏の風物詩ということですが、私は年中食べています。
海沿いの生地鼻灯台のすぐ目の前にある明治時代から続く漁業の会社 丸中水産の運営するカフェ「北洋の館」では、水だんご専門店「藤吉」の水だんごを提供しています。そのほかに、人気のサンマや干物の定食、地域の海産物なども購入できるショップも併設。のんびりとした雰囲気なのですが、いつもお客さんで賑わっている地元の人気スポットです。

北洋の館
🗓️木〜月
📍富山県黒部市生地芦崎330−1
🐾黒部市美術館からバス約23分
🚃あいの風とやま鉄道線 「生地駅」から徒歩約30分
公式サイト
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現在の展覧会は、「川内理香子 The shape of water hardens into stone.」です。川内さんは昨年の秋に、黒部を含む富山県東部の様々な水や石の風景と自然の循環を体験しました。その中でも、黒部川の河口(車だと「北洋の館」の近く)の海と川が出会う複雑で穏やかな水の流れに大きな気づきを得て展覧会が構成されました。黒部市公式サイトはこちらから! 川内さんの身体への関心や制作過程での素材とのやり取りが、地域の自然のあり方と重なり、様々な境界を超えて作品同士が響き合う展示空間となりました。

遠方からだとかなりの気合が必要な場所にある当館ですが、富山の自然と共にご覧いただければ幸いです。
2026年1月からの展覧会は、郷土の作家 富山芳男の作品を一同に会します。詳細は黒部市美術館の公式サイトから随時更新予定です。
【次回】
尺戸さんが次の案内人に推薦するのは、熊本市現代美術館の坂本顕子さん。どんなグルメが飛び出すのか、どうぞお楽しみに!