公開日:2025年11月17日

「美術館 学芸員の昼メシ」#8|黒部市美術館学芸員 尺戸智佳子さんおすすめ! ちょっと遠出してでも行ってみたいご当地グルメ!(富山県 黒部市)#美メシ

美術館周辺のグルメ情報をお届けする連載8回目! 学芸員や美術館スタッフが「行きつけのお店」を教えます

八角 〜メシと喫茶ハチカク〜 トンテキ

美術館周辺の美味しいお店を教えて!

アート好きには食好きが多い(気がする)。遠出して美術館に行くなら、美味しいものも楽しみたい。逆に、美味しいものを目当てに訪れた場所で、美術館にも立ち寄りたい、ということもあるのではないでしょうか。

本シリーズ「美術館 学芸員の昼メシ」(略して #美メシ)では、全国各地の美術館で勤務する学芸員やスタッフの方々に、「うちに来たらここに寄れ!」という、とっておきのお店を教えてもらいます。ランチに限らずお茶や夕飯におすすめのカフェやレストランも登場するかも。
今回は黒部市美術館 学芸員の尺戸智佳子さんが登場です。【Tokyo Art Beat】

*黒部市美術館で開催中の「川内理香子 The shape of water hardens into stone.」の詳細はこちら

黒部の愛がつまったトンテキ定食「八角 〜メシと喫茶ハチカク〜」

「せっかく富山に来たならお魚が食べたい!」ということで、あまりご案内の機会がなかったのですが、地元の美味しいものが詰まった大人気の定食は「八角 〜メシと喫茶ハチカク〜」のトンテキ定食。少し時間があるときのお楽しみ、ひとりランチスポットのひとつです。

たらふく食べるぞ! という気合と共に入店します。地元の甘口醤油がベースのタレに、外側を少しカリッとさせた柔らかいトンテキと、山盛りキャベツをからめて食べます。その横にそっと添えられているマカロニサラダにも地元の美味しいかまぼこが入っていて嬉しいです。名水の里 黒部産のコシヒカリと、富山名物とろろ昆布の味噌汁でほっこりする、幸せの無限ループです。

そして、食べ終わったお皿に見える「アリガトウ」の文字に合掌してしまう、黒部の愛がつまった定食です。休日は順番待ちの列がついていることが多そうですが、とってもお腹が空いているときに、ぜひ来店してみてください。

外観
トンテキ定食(ロース1650円、リブロース1700円、黒部名水ポーク2500円(数量限定))

八角 〜メシと喫茶ハチカク〜
🗓️
水〜金
📍富山県黒部市宮野723-3
🐾黒部市美術館からバス約1時間、車約13分
🚃富山地方鉄道本線 「舌山駅」から徒歩約28分
公式サイト
Map

もちもちの団子、「水だんご」は北洋の館で!

黒部市の海沿いの地域は湧水が豊富です。その冷たい水で引きしめてから食べる「水だんご」は、米粉と片栗粉だけで作られた黒部市生地の郷土の味。鶯色のきなこがかわいくて、もちっと美味しいお団子です。夏の風物詩ということですが、私は年中食べています。

海沿いの生地鼻灯台のすぐ目の前にある明治時代から続く漁業の会社 丸中水産の運営するカフェ「北洋の館」では、水だんご専門店「藤吉」の水だんごを提供しています。そのほかに、人気のサンマや干物の定食、地域の海産物なども購入できるショップも併設。のんびりとした雰囲気なのですが、いつもお客さんで賑わっている地元の人気スポットです。

水だんご(350円)、お店で買える「藤吉」の水だんご(350円)

北洋の館
🗓️
木〜月
📍富山県黒部市生地芦崎330−1
🐾黒部市美術館からバス約23分
🚃あいの風とやま鉄道線 「生地駅」から徒歩約30分
公式サイト
Map

黒部市美術館へ!

現在の展覧会は、「川内理香子 The shape of water hardens into stone.」です。川内さんは昨年の秋に、黒部を含む富山県東部の様々な水や石の風景と自然の循環を体験しました。その中でも、黒部川の河口(車だと「北洋の館」の近く)の海と川が出会う複雑で穏やかな水の流れに大きな気づきを得て展覧会が構成されました。黒部市公式サイトはこちらから! 川内さんの身体への関心や制作過程での素材とのやり取りが、地域の自然のあり方と重なり、様々な境界を超えて作品同士が響き合う展示空間となりました。

撮影:Shintaro Yamanaka (Qsyum!)

遠方からだとかなりの気合が必要な場所にある当館ですが、富山の自然と共にご覧いただければ幸いです。

2026年1月からの展覧会は、郷土の作家 富山芳男の作品を一同に会します。詳細は黒部市美術館の公式サイトから随時更新予定です。

【次回】
尺戸さんが次の案内人に推薦するのは、熊本市現代美術館の坂本顕子さん。どんなグルメが飛び出すのか、どうぞお楽しみに!

尺戸智佳子

尺戸智佳子

2006年から公益財団法人金沢芸術創造財団にて主に舞台芸術の企画制作を担当。2014年より黒部市美術館学芸員として勤務。地域と美術館の環境を意識した展覧会を企画してきた。近年の主な展覧会としては「サエボーグ Enchanted Animals」(2024)「キュンチョメ個展 魂の色は青」(2023)等。また現在、開催中の「川内理香子 The shape of water hardens into stone.」を担当。