横浜美術館アーティスト
ヨアル・ナンゴ、ピッパ・ガーナー、ルンギスワ・グンタ、オープングループ、SIDE CORE 他
横浜トリエンナーレは、ミッションの⼀つに「現代アートの良質な⼊⾨編となること」を掲げています。第8回展のテーマは、「野草:いま、ここで⽣きてる」です。北京を拠点に活躍するアーティスティック・ディレクター(AD)、リウ・ディン(劉⿍)とキャロル・インホワ・ルー(盧迎華)が企画する展覧会を中⼼として、多くの⽅が楽しめるさまざまなプログラムを展開します。ADの⼆⼈は「野草」の⾔葉を、⽇本にゆかりの深い中国の⼩説家、魯迅(ろじん)の詩集『野草』(1927年刊⾏)からとりました。
約100年前、時代の波に翻弄(ほんろう)された魯迅は、絶望の中に⼩さな希望を⾒出す⾃らの⽣き⽅を、もろくて無防備で、しかし同時にたくましく⽣き延びる⼒を持つ野の草にたとえました。コロナ禍や戦争、環境破壊や経済格差、そしてインターネット上にあふれるフェイクニュースや⾃⼰責任論——わたしたちの⽇々の暮らしもまた、数々のむずかしさを抱えています。展覧会は、魯迅の時代を出発点に、東⻄冷戦の終結など、今⽇の息苦しさを⽣む原因となったいくつかの歴史的なできごとをたどります。これらを⼿がかりに、世界中から集まる現代アーティストたちの作品を通して、今ここにあるわたしたちの⽣き⽅をふり返り、その先にきっとある希望をみなさんとともに⾒出したいと考えます。
展覧会「野草:いま、ここで⽣きてる」は、「横浜美術館」(1989年開館)に加え、⼆つの歴史的な建物を会場として開催されます。「旧第⼀銀⾏横浜⽀店」(1929年竣⼯)と、「旧横浜⽣⽷検査所附属⽣⽷絹物専⽤B号倉庫及びC号倉庫」(1926年竣⼯)を活⽤した⽂化・商業施設「KITANAKA BRICK&WHITE」内に⽴地するオルタナティヴスペース「BankART KAIKO」です。東⻄冷戦終結の年にオープンした横浜美術館。そして、魯迅の『野草』(1927年刊⾏)と同時代に建てられた2棟の歴史的建造物。第8回横浜トリエンナーレは、地域に残る歴史資産を舞台に、広く今⽇の問題へとつながる道を探ります。
また「野草:いま、ここで⽣きてる」展に加え、横浜駅から元町・中華街、⼭⼿地区にある諸施設と連携し、無料で楽しんでいただける多彩なプログラムを実施します。最先端のアートに触れながら、海を眺め、秘められた歴史を感じる——春のひととき、そんな横浜ならではの街歩きをお楽しみください。
会場: 横浜美術館、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO