弘前れんが倉庫美術館アーティスト
川内理香子、小林エリカ、ユーイチロー・E・タムラ、渡辺志桜里、SIDE CORE、工藤麻紀子、奈良美智、佐藤朋子、さとうりさ、ナウィン・ラワンチャイクン、ジャン=ミシェル・オトニエル、藤井光、大巻伸嗣、斎藤麗、永野雅子、細川葉子、畠山直哉、和田礼治郎、蜷川実花、松山智一
街の中につくりだす、わたしたちの新しい生態系<ユートピア>
当館は、2020年の開館から今年で5周年を迎えます。展覧会「ニュー・ユートピア」は、開館5周年を記念して、未来をうらなう若いアーティストたちの作品と、1万5千年をさかのぼるともいわれる津軽地方の人間の営みに連なる作品を織り交ぜながら、わたしたちがつくりだす新しい生態系について考えようとする展覧会です。
「どこにもないところ」という意味のギリシャ語に由来する「ユートピア」は、16世紀イギリスの思想家、トマス・モアの著作に登場する架空の国家の名前です。モアは、共通の価値観を持つ人々が暮らす、理想の場所としてユートピアを描き出しました。一方で、ひとりひとりが異なる価値観で生きる現代社会において、個人が探し求める理想の場所のあり様はますます多様になっています。
わたしたちは、大小さまざまな「生態系」の一部としてこの世界を生きています。現在、「生態系」という言葉は、自然環境における命の循環の仕組みを示す本来の意味を超えて、人間の知的・文化的な活動によって影響を受けた、都市生活の構造に対しても用いられることがあります。わたしたちはいわば、自分たちの生きる世界(社会的な生態系)を自らつくり出すことができる創造主にもなり得るのです。
ここに登場するのは、食べ物とそれを取り込む身体や、人間と動物が重なりあうような神話的なイメージを描き出す川内理香子の絵画や刺繍、外来種を含む動植物が生息する水槽をつないで循環させることで、生き物が影響し合うあらたなシステムを作り出す渡辺志桜里のインスタレーション、さまざまな場所の地下空間を滑走するスケーターたちを捉え、普段は目に見えない巨大な地下都市の存在を浮かび上がらせるSIDE COREの映像作品などです。
本展を通じて、自分たちそれぞれにとって、遠い理想郷ではない未来のユートピアとは何か、考えるきっかけになることを目指します。