ユミコチバアソシエイツこの度、Yumiko Chiba Associates では、鷹野隆大の個展「bodies」を開催いたします。鷹野は 2006 年に写真集『IN MY ROOM』で第三十一回木村伊兵衛写真賞を受賞以降、セクシュアリティやジェンダーに関わる写真のみならず、写真という媒体の特殊性を問い直す多様な表現を展開し、国内外で高い評価を得てきました。現在、東京都写真美術館では「総合開館 30 周年記念 鷹野隆大 カスババ―この日常を生きのびるために―」展も開催中です。
本個展「bodies」では、男性の裸体を捉えた「立ち上がれキクオ」「ヒューマンボディ 1/1」「ヨコたわるラフ」の各シリーズを展示します。写真は、画家が対象を描く「写す」行為に対し、自動的かつ機械的に被写体が「写る」ものであり、撮影者の主体性はカメラという装置と一体化することで後退していきます。しかし、鷹野は「近年は『写る』のではなく、『写す』『写される』という関係性の中で問いを立てたくなるような作品が増えている。この撮影主体を意識した問いは、絵画と同様の意識で画面を見ることを意味する。言わば、写真の絵画化である」と指摘しています。
特に「ヨコたわるラフ」シリーズは、西洋絵画の伝統的な主題である横臥像に範をとったものであり、絵画との関係を強く示しています。本展では、写真と絵画の間、すなわち「写す」ことと「写る」ことの狭間で彷徨うように、写真における身体表現の中での主体の位置を再考します。
本展覧会は、Yumiko Chiba Associates による展覧会シリーズ「写真を問う」の一環として開催いたします。ぜひご高覧ください。また、6月14日には、美術批評家・沢山遼によるミニレクチャーと鷹野とのトークイベントも開催いたします。