公開日:2025年4月24日

2026年のヴェネチア・ビエンナーレ、日本館代表作家に荒川ナッシュ医が選出

第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展は、2026年5月9日〜11月22日にイタリア・ヴェネチアで開催

荒川ナッシュ医 撮影:Ricardo Nagaoka

日本館の代表作家は、荒川ナッシュ医

「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」日本館展示の作家が荒川ナッシュ医に決定したことが発表された。

2026年5月9日から11月22日まで、イタリア・ヴェネチアで開催される「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」。総合ディレクターはコヨ・クオ(ツァイツアフリカ現代美術館エグゼクティブディレクター/チーフキュレーター)が務める。

荒川ナッシュ医は、1977年福島県生まれの日系アメリカ人で、現在はアメリカ・ロサンゼルスに在住するクィア・パフォーマンス作家。他者とのコラボレーションを活動の基本とし、「私」という主体を揺るがしながら、アート作品や作家の主観の不確かさをグループ・パフォーマンスとして表現している。ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインにて大学院アートプログラム教授を務める。2000年代から様々な国際展や美術館で作品を発表し、2024年にはアジア地域初となる美術館での個展「荒川ナッシュ医 ペインティングス・アー・ポップスターズ」が東京の国立新美術館で開催された。

荒川医《メガどうぞご自由にお描きください》(2021)展示およびパフォーマンス風景 テート・モダン、ロンドン 撮影:Brotherton-Lock Courtesy of the artist
荒川ナッシュ医《LGBTQIA+ ベイビー・シャワー・イベント》(2024) パフォーマンス風景 国立新美術館、東京 撮影:中川周 Courtesy of the artists and The National Art Center, Tokyo

日本館キュレーターは現時点で発表されておらず、決定後に、作家との対談などの公開イベントも検討されているという。

荒川ナッシュ医のコメント
数年前に日本国籍を喪失し、日本代表としてヴェネチア・ビエンナーレに参加する機会はないと思っていました。1966年の草間さんのゲリラ行為や1997年の内藤礼さんの空間など、ビエンナーレの歴史的なパフォーマンスと対話できるこの機会に高揚しています。

パンデミック以降、日本館の選考プロセスは大きく変わりました。作家がキュレーターを選び、追加資金を調達しなければならない。国を代表するという「宿題」は複雑になってますが、見方を変えれば、今までよりさらに作家が主体性を持って展覧会に関与出来るということ。これまでの日本館でのダムタイプ、毛利悠子さんに続き、次の誰かにバトンタッチ出来るような風穴を開けたい。

現在、夫と私はロサンゼルスのアジア系ディアスポラ・コミュニティの新しい一員である2人の子供をせわしなく育てています。最近、和田夏十さん脚本の1962年の映画『私は二歳』をもう一度見ました。彼女の脚本は、2026年の日本館の私のパフォーマティブな展開のヒントとなるでしょう。

荒川ナッシュ医《ぬいぐるみの主観性》(2024)パフォーマンス風景 CHAT、香港 撮影:Spark Photography Courtesy of the artists

今回の作家選考過程について

第一次選考にて、国際交流基金の委嘱を受けた6名からなる国際展事業委員会が、国内外26名の推薦委員からノミネートされた複数の作家の推薦リストをもとに7組の最終選考候補者を決定。その後、各候補者に参加の可能性の確認と基本的な展示プランの提出が依頼され、第二次選考会議で、個別のプランについて評価をした後、代表作家として荒川ナッシュ医が選出された。

荒川ナッシュ医「ペインティングス・アー・ポップスターズ」展示風景(2024) 国立新美術館、東京 撮影:中川周 Courtesy of the artists and The National Art Center, Tokyo

選考についての講評は、後日、国際交流基金のウェブサイトで公開される予定。

国際展事業委員と、最終選考に残った候補作家は以下の通り。

国際展事業委員
片岡真実
蔵屋美香
建畠晢
南雄介
野村しのぶ
鷲田めるろ

最終選考に残った候補者
荒川ナッシュ医
今津景とバグース・パンデガ
小泉明郎
志賀理江子(辞退)
島袋道浩
目[mé]
山城知佳子

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。