公開日:2025年3月3日

金沢21世紀美術館が2025年度の展覧会スケジュールを発表。リヒターとキーファーを起点に絵画の可能性を探求するグループ展、SIDE CORE展など

2025年で開館21年目。現代美術の新しい動向を注視し、国際的な視野で作品収集と展覧会を行ってきた石川県の金沢21世紀美術館。気になる2025年度のラインアップを紹介

淺井裕介 星、飛ビ散ル/太陽の一番近くへ 2024 撮影:田口まき

2025年で開館21年目を迎える石川・金沢21世紀美術館。同館で2025年度に開催される展覧会のラインアップが発表された。

「接続する絵画(仮)」(4月29日〜9月28日)

ポストモダン以降、絵画は従来のタブローとしての絵画から脱却し、絵画それ自体をメディウム化する方向へと展開してきた。オブジェを組み合わせてイリュージョンを排除するような絵画、空間全体を取り込むような絵画、作者が架空と実在を行き来するような絵画、現実と虚構に揺さぶりをかける絵画、パフォーマンスや映像を組み合わせた絵画、絵画それ自体の存在を問うような絵画などの取り組みは、現実の世界と深いつながりを結んでいる。本展では、対極する戦後ドイツの画家、ゲルハルト・リヒターアンゼルム・キーファーを起点に、絵画における表現の可能性を探究し、それぞれの手法や視点から独自の「絵画」に取り組むアーティストを紹介する。

ゲルハルト・リヒター アブストラクト・ペインティング(CR 845-5) 1997 金沢21世紀美術館蔵 撮影:木奥惠三

「コレクション展1 マテリアル・フィーバー(仮)」(5月24日〜9月15日)

美術館の所蔵作品から、物質世界への関心を出発点とした作品を紹介するコレクション展。素材の物理・化学的性質を生かして表現の可能性を広げた作品や、通常では目に見えない物理法則を現前させ、見る者の知覚を揺さぶる作品を通して、世界への眼差しを拡張させる創造力を体感できる展覧会となる。

「ジャネット・カーディフ 40声のモテット」(5月24日〜9月15日)

同館コレクション作家であるジャネット・カーディフによる《40声のモテット》を国内巡回展示。《40声のモテット》は、16世紀イングランドの作曲家トマス・タリスによる『40声のモテット』をもとに、40台のスピーカーから再生される聖歌隊の40人の声が、空間を彫刻のように構築するサウンドインスタレーションだ。楕円形に配置されたスピーカー1台ごとに個々の声が響き、重層的に音が重なり合うことで、まるでその場に40人の合唱が生まれるかのような臨場感と、音と空間の融合を体験できる。

ジャネット・カーディフ 40声のモテット 2001 Johanniterkirche, Feldkirch, Austria, 2005 Photo by Markus Tretter Courtesy of the artist and Luhring Augustine, New York / Gallery Koyanagi, Tokyo.

「コレクション展2 文字の可能性(仮)」(9月27日〜2026年1月18日)

本展では、「現代アート作品における文字の存在」という切り口から、書・絵画・陶・インスタレーションなど多様なコレクション作品を紹介。作品の文字がもたらす意味や、文字を「書く(描く)/読む」という行為の表れに着目しながら、文字を用いた表現の魅力と奥深さに迫る。

「オトボン・ンカンガ(仮)」(9月27日〜11月24日)

オトボン・ンカンガは、ナイジェリアに生まれ、ベルギーを拠点に活動するアーティスト。土や大地、海などが人間との関係のなかで持つ物語や政治性に焦点を当てて制作を続けてきた。本展では、作家が石川県内の様々な素材や工芸技術をリサーチした成果として、職人たちとのコラボレーションによる新作を公開。あわせて同館が新たに収蔵したタペストリー作品も紹介される。

オトボン・ンカンガ Tied to the Other Side 2021 金沢21世紀美術館蔵 photo: Wim van Dongen

「SIDE CORE」(10月18日〜2026年3月15日)

ストリートカルチャーを切り口に「公共空間における表現の拡張」をテーマに活動するアートチーム、SIDE CORE。その作品は土地と風景に新たな視座を与えることを重視している。本展では、彼らが2024年度に同館のアーティスト・イン・レジデンスプログラムに参加し、金沢市内および能登半島でリサーチや作品制作を行った成果を展示する。2024年1月1日に発生した能登半島地震を契機に行われた能登半島でのリサーチは、震災がもたらした土地の変化への理解を深めることを目的としていた。展覧会では、「危機に対してアートは何ができるのか」という根源的な問いに挑戦し、SIDE COREの公共空間に対する独自の視点と、芸術がどのように社会に対して新たなバイパス(抜け道)としての可能性をもたらすのかを紹介する。

SIDE CORE new land 2024 © SIDE CORE

「江康泉 ドラゴンズ・デリュージョン(仮)」(10月18日〜2026年3月22日)

香港を拠点に活動するマレーシア出身のアーティスト、江康泉(Kongkee)。本展では代表作であるSF漫画・アニメシリーズ《Dragon's Delusion》(原題《離騒幻覚》)を中心に展示する。《Dragonʼs Delusion》は、人間とアンドロイド、サイボーグが共存し、不老不死と引き換えに完全な監視下に置かれる人々と、それを放棄する「祭司」と呼ばれる人々が存在する世界が舞台。西洋中心の未来像と異なる、江が描くアジアの文化と歴史に基づく未来像「アジア・フューチャリズム」が紹介される。

「ひと、能登、アート。」(12月13日〜2026年3月1日)

令和6年能登半島地震・令和6年奥能登豪雨復興支援事業として行われる本展は、東京国立博物館をはじめとする東京所在の美術館・博物館の所蔵作品を一堂に公開。能登半島の地震と豪雨で被災した人々に寄り添い、心を癒し励ますため、復興を支援する想いを込めた作品を参加する各館が自ら選び、金沢21世紀美術館、石川県立美術館(11月15日〜12月21日)、国立工芸館(12月9日〜2026年3月1日)で展示する。

このほか、デザインギャラリーでは、建築デザインスタジオALTEMYによる展覧会「MAGIC -次元の窓- (仮)」(5月20日〜10月5日)が開催。若手作家を中心に個展形式で紹介する展覧会シリーズ「アルペルトシリーズ」では、16歳でカナダに移住し、2021年以降は東京とカナダの2拠点で絵画の制作を行う森本啓太の展示(5月20日〜10月5日)、精神科病院で看護師として働くかたわらでデザインを学んだファッションデザイナー、津野青嵐の展示(10月18日〜2026年3月22日)を行う。また、6月21日〜29日には、「禅」をテーマに金沢市民とチェルフィッチュの岡田利規が制作する「映像演劇」を開催する。

チェルフィッチュの〈映像演劇〉『風景、世界、アクシデント、すべてこの部屋の外側の出来事』 2020 札幌文化芸術交流センター SCARTS © Kenzo Kosuge

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