「Art Collaboration Kyoto(ACK)」会場風景 画像提供:Art Collaboration Kyoto
「コラボレーション」をコンセプトにした京都の国際的アートフェア「Art Collaboration Kyoto(ACK)」が11月14日に開幕。11月16日まで国立京都国際会館ほかで開催される。
ACKは、国内ギャラリーが海外ギャラリーをゲストに迎え、1つのブースを共有して展示を行う「ギャラリーコラボレーション」と、京都ゆかりのアーティストや作品を紹介する「キョウトミーティング」という2つの柱によって構成される。5回目の開催となる今年は、19の国と地域から初参加を含む72ギャラリーが出展した。
会場デザインを手がけたのは建築家・周防貴之。木製の格子に囲まれた外観は、従来のアートフェアの印象を覆すような柔らかさを備える。内部ではブース同士がゆるやかに連続し、開放的でありながら迷路のような空間が生まれている。

「ギャラリーコラボレーション」では、ブース数を前回より増やし、国内29ギャラリーがホストとなり、海外に本拠地のある30ギャラリーとコラボレーション。世界の老舗ギャラリーから新進気鋭のギャラリーまでが一堂に会し、多様な展示が繰り広げられている。
たとえば小山登美夫ギャラリーはロサンゼルスのChris Sharp Galleryとコラボレーションし、ともに日常の風景や物語性のあるモチーフから独自の世界観を生み出す作家である八木恵梨と風能奈々の作品を展示している。TARO NASUはACK初参加となるニューヨークのGladstone Galleryとコラボレーション。使い古されたぬいぐるみを再構成した、かわいらしくも恐ろしいプレシャス・オコヨモンの作品が来場者の目を引いていた。
SCAI THE BATHHOUSEと、香港からACKに初参加したKiang Malingueのブースでは、趙容益、スー・メイ・ツェ、キャリー・ヤマオカというアジアにルーツを持つ3人の作家の作品と、三輪美津子の絵画や目 [mé]の立体作品がひとつの空間のなかで響き合う。
CON_とソウルのARARIO GALLERYは、山中雪乃、イム・ノシク、ノ・サンホという日韓3作家によって、可視と不可視、自己と他者の関係性を探るような展示を構成。初参加となった、アフリカの現代アートを扱うspace Unはナイジェリア・アブジャのRetro Africaと協働し、ジデフォ・アメガツェイ、ウゴ・アヒアクウォら日常の素材を再構築して制作を行う4人のアーティストの作品を展開した。

「キョウトミーティング」では、国内から7ギャラリー、海外から6ギャラリーが参加。
大阪のアートコートギャラリーは京都を拠点に活動する福本潮子、大西伸明、ベーハイム雪絵ラオレンティアの作品を展示。ロンドンのSadie Coles HQは12月2日まで京都の寺院・廣誠院でも展示を行っているイタリア人アーティスト、イザベラ・デュクロの作品を紹介している。ニューヨークのUlterior Galleryは、同地を拠点とするキャリー・ヤマオカと京都を拠点とする国谷隆志の二人展を企画。「光」を通じて両者の作品が呼応する空間を展開した。
また、毎年異なるテーマのもとで展開される企画展示「ACK Curates」では、キュレーターのマーティン・ゲルマンと木村こころが、ACK Curatesの今回のテーマ「2050 ― 未来へのまなざし ―」を軸に「シンビオーシス:アート、そして共に生きる世界」をキュレトリアルテーマに据えて作品を選出。⼟肥美穂、遠藤利克 、⽊村友紀、イェイン・リー、フン・ティエン・ファン、ダニエル・スティーグマン・マングラネ、菅⽊志雄、リクリット・ティラヴァニ、安永正⾂、ステラ・ジョンの作品が会場内外に展開されている。
さらに「スペシャルプログラム」では、近年注目を集める、戦後の福岡市で生まれた前衛美術グループ「九州派」の展示や、伊藤彩と純金工芸ブランドSGCのコラボレーションによるインスタレーション展、京都髙島屋S.C.で開催される「ART WEEKS」と連動した⽔⼾部七絵、リュ・ジェユンの展示など、企業との協働による多彩な企画が登場している。
大丸松坂屋百貨店によるアーティストの育成プロジェクト「Ladder Project」では、屋外に山内祥太によるインスタレーションを展示。ロボットと類人猿、恐竜の化石が合体したような立体彫刻とモノリスのようにそびえ立つスクリーン、そしてシンクロする音と光によって「人類が姿を消したあとの世界」を描き出した。
会期中は、アーティストやキュレーターを招いたトークプログラムも多数開催。廣誠院でのイザベラ・デュクロ展、OSCAAR MOULIGNEでのガブリエル・オロスコ展、MtK Contemporary Artでのボスコ・ソディ展など、市内各所で同時期に開催される展覧会やイベントを紹介する「What’s On」といった取り組みも。京都府・京都市が推進する「京都アート月間」とも連携し、街全体でアートを楽しむことのできる3日間となる。