公開日:2025年9月12日

新宿歌舞伎町のオールナイトアートイベント「BENTEN 2」が11月に開催。メインアーティストはやなぎみわ

Chim↑Pom from Smappa!Groupらが贈る回遊型イベント。会期は11月1日〜3日

昨年初開催の回遊型アートイベントがふたたび

オールナイトアートイベント「BENTEN 2 Art Night Kabukicho」が、11月1日〜3日に東京・新宿の歌舞伎町地区一帯で開催される。

Chim↑Pom from Smappa!Groupが芸術監督を務め、2024年に初開催された回遊型アートイベント「BENTEN 2024」。その第2回となる今回は、「都市の再野生化」をテーマに据え、歌舞伎町という混沌とした都市の中で、アートがふたたび「野生」を取り戻し、新たな可能性を開く場を創出することを目指す。会場は、昨年に引き続き、王城ビル新宿歌舞伎町能舞台デカメロンWHITEHOUSE、東京砂漠(旧芸術公民館)などの個性的なスペースを横断的に活用しながら、さらなる拡張を試みる。

王城ビル
新宿歌舞伎町能舞台

テーマは、「都市の再野生化」

キュレーターはChim↑Pom from Smappa!Group(卯城竜太、エリイ、林靖高、水野俊紀、岡田将孝、稲岡求)に加え、山本裕子、涌井智仁、池田佳穂。Chim↑Pom from Smappa!Groupは、「都市の再野生化」というテーマについて、次のようなステートメントを公開している。

「100年に一度」と称される大規模な東京の再開発は、劇的な改造を通じて街の秩序を強化する一方で、生物多様性や「都市の野生」を排除してきた。しかし、「夜の街」歌舞伎町は異質である。再開発と並行して、トー横や立ちんぼ、ネズミの爆発的増加、悪質ホストの問題など、さまざまな「不都合」が目立つようになった。

歌舞伎町は、東京で唯一、再開発を契機に「再野生化」している街だと言えるだろう。
さまざまな不幸が報道される事態である一方で、ここは戦後の闇市からアングラ文化、暴力の排除といった治安維持のいたちごっこに至るまで、常に制度の隙間を再生産してきた街でもある。資本を受け入れつつ狂乱化する、その底が抜けたような破壊衝動と開放性は、均一化する東京において稀有なアイデンティティを示し、皮肉にも最も賑わう街となっている。

「野生」の歴史と現在性を、奇しくも再開発と足並みを揃えて誕生した多くのBENTENの会場から検証してみたい。

*本テーマは、都市社会学者・仙波希望氏との会話を引用したものである

Chim↑Pom from Smappa!Group

王城ビルと能舞台でやなぎみわの展示と特別公演

今回の発表とあわせて、参加アーティスト・プログラムの第1弾も明らかに。「BENTEN 2」のメインアーティストとして、ジェンダー、老い、生死などをテーマに世界的に活躍するアーティスト・やなぎみわが、王城ビルのワンフロアと新宿歌舞伎町能舞台で展示を行う。

やなぎみわ「ムネーメー」

王城ビルでは、ギリシャ神話の3姉妹のひとりで、「記憶」を司る女神の名を冠した展示「ムネーメー」を開催。11月1日、2日に行われる新宿歌舞伎町能舞台の展示「黄泉平坂 よもつひらさか」では、深夜の果樹園を大型カメラで写し取った写真作品《女神と男神が桜の木の下で分かれる》や、女神イザナミの新たな姿を描いたスケッチ、立体作品などが紹介される。同会場では、最終日の11月3日に「BENTEN 2」のために構成されたパフォーマンス公演「黄泉平坂 〜排斥と遊戯〜」を上演する。

やなぎみわ「黄泉平坂 よもつひらさか」
「黄泉平坂 〜排斥と遊戯〜」

唐組のセットなどを展示する「生きられた新宿 『状況』劇場」

さらに、1975年にニューヨーク近代美術館で開催された「新宿」展を起点に、WHITEHOUSE、王城ビル、工学院大学の3会場で展開される「生きられた新宿」展の一環として、王城ビルでは「生きられた新宿 『状況』劇場」が開催。批評家・多木浩二の考察と新宿で生起したアクションのアーカイヴを交差させる演劇的展示となり、状況劇場のタイトルを再解釈し、唐組『紙芝居の絵の町で』で用いられたセットを中心に構成される。

「生きられた新宿 『状況』劇場 」

また東京砂漠の地下1階では、昨年に引き続き宇川直宏による「SUPERDOMMUNE」のサテライトスタジオとして「DOMMUNE KABUKICHO」がオープン。会期中、様々なプログラムが行われる。

DOMMUNE KABUKICHO

今後もさらなる参加アーティストやプログラムが発表される予定だ。

「BENTEN 2 Art Night Kabukicho 」

会期:2025年11月1日(土)15:00〜5:00/11月2日(日)15:00〜5:00/11月3日(月・祝)15:00〜23:00
※会場によって開場時間が異なります。公式WEBサイトやSNS等によりご確認ください。
会場:歌舞伎町地区一帯(王城ビル/歌舞伎町能舞台/デカメロン/WHITEHOUSE /東京砂漠(旧芸術公民館)ほか)
※シネシティ広場にて歌舞伎超祭2025を同時開催予定
公式ウェブサイト:http://benten-kabukicho.com

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