公開日:2025年6月5日

「美術館 学芸員の昼メシ」#3|弘前れんが倉庫美術館館長 木村絵理子さんおすすめ!津軽地方の食材が一堂に会する市場「虹のマート」(青森県弘前市) #美メシ

美術館周辺のグルメ情報をお届けする連載3回目! 学芸員や美術館スタッフが「行きつけのお店」を教えます

虹のマート

美術館周辺の美味しいお店を教えて!

アート好きには食好きが多い(気がする)。遠出して美術館に行くなら、美味しいものも楽しみたい。逆に、美味しいものを目当てに訪れた場所で、美術館にも立ち寄りたい、ということもあるのではないでしょうか。

本シリーズ「美術館 学芸員の昼メシ」(略して #美メシ)では、全国各地の美術館で勤務する学芸員やスタッフの方々に、「うちに来たらここに寄れ!」という、とっておきのお店を教えてもらいます。ランチに限らずお茶や夕飯におすすめのカフェやレストランも登場するかも。

今回は、開館5周年を迎えた青森県の弘前れんが倉庫美術館の館長木村絵理子さんが登場です。【Tokyo Art Beat】

弘前れんが倉庫美術館で開催中の展覧会「ニュー・ユートピア——わたしたちがつくる新しい生態系」のレポートを公開中。

生鮮食品からお弁当まで、地元食材を気軽に楽しめる「虹のマート」

弘前は美食の街。

洋館とフランス料理の街として知られるのはもとより、懐石料理やお寿司など、遠方から「このお店へ来るために」と、数ヶ月前から予約して弘前を訪れる人もあるほどに食が充実しています。

虹のマート

そんな弘前の食事を支えているのは、野菜や果物、魚介類に加工肉など、津軽地方で採れる新鮮な食材です。こうした地元の食材を一手に扱う市場が「虹のマート」です。1956年から続く虹のマートは、弘前駅から徒歩5分(空港バスが発着する弘前バスターミナルは目の前です)、弘前れんが倉庫美術館からも徒歩15分弱の便利な場所にあり、季節ごとの生鮮食品からお弁当や惣菜、スイーツやコーヒー豆などを扱う店舗も入っています。そうしたお店の中には、イタリアンの名店シェフがプロデュースしたラーメン店なども。特別な日の高級なお食事も良いけれど、安くて美味しい津軽地方の日常を知るには、虹のマートをお勧めします。

虹のマートで買えるいろんなお店のお弁当(右からキーマカレー620円、海鮮丼700円、豚カス丼・卵トッピング650円、日替わり弁当500円) 撮影:筆者

イートインのスペースで、買ったばかりのお弁当を食べることもできますし、弘前れんが倉庫併設のカフェではドリンク注文のお客様には無料でレジャーシートを貸し出していますので、虹のマートでテイクアウトしたお弁当やお惣菜とともに、美術館前の緑地でピクニックもできますよ。

お土産に最適、津軽地方のりんごもあります

虹のマート
🗓️
月〜土 8:00〜18:00 日曜定休
📍青森県弘前市駅前町12-1
🐾弘前れんが倉庫美術館から徒歩14分
🚃JR弘前駅から徒歩5分
公式サイト
Instagram
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弘前れんが倉庫美術館へ!

コロナ禍の最中、2020年に開館した弘前れんが倉庫美術館は今年で開館5周年。ただいま「ニュー・ユートピア——わたしたちがつくる新しい生態系」と題して、川内理香子や渡辺志桜里、SIDE COREら20組の作品に加えて、近年まで青森には「ない」と思われていた弥生時代の水稲の痕跡を示す土器や、古作のこぎん刺しなどを紹介しています。開館以来コミッション・ワークを活動の要に据えてきた当館では、弘前や津軽地方の風土と歴史を題材に作品を制作した小林エリカ、佐藤朋子、大巻伸嗣、斎藤麗、ナウィン・ラワンチャイクンや、ジャン=ミシェル・オトニエルらの作品や、大正時代に建てられた煉瓦造りの建物である美術館建築をモチーフにした藤井光と畠山直哉らの作品も収蔵しています。初めて弘前へ来る方だけでなく、これまで弘前れんが倉庫美術館に来たことがある方にも、あらためて畿内や関東中心の日本の歴史とはまた違う、津軽地方の歴史とつながる現代美術をご覧いただきたいと思います。

7月11日(金)からの3日間は、開館5周年記念イベント「5周年!れんがひろばのアートフェス」も予定していますので、爽やかな青森の夏にぜひ弘前れんが倉庫美術館を訪れてみてください。

緑地でランチも気持ち良い、弘前れんが倉庫美術館 ©︎ Naoya Hatakeyama

【次回】

木村さんが次の案内人に推薦するのは、アーツ前橋の学芸員、井波吉太郎さん。どんなグルメが飛び出すのか、どうぞお楽しみに!

木村絵理子

木村絵理子

きむら・えりこ 弘前れんが倉庫美術館館長。横浜美術館主任学芸員、弘前れんが倉庫美術館副館長を経て2024年から現職。近年の主な展覧会企画に、「HANRAN: 20th-Century Japanese Photography」(National Gallery of Canada、オタワ、2019)「昭和の肖像:写真でたどる『昭和』の人と歴史」(アーツ前橋、2018)、「BODY/PLAY/POLITICS」(横浜美術館、2016)、「奈良美智:君や 僕に ちょっと似ている」展(横浜美術館、青森県立美術館、熊本市現代美術、2012)、「Welcome to the Jungle 熱々!東南アジアの現代美術」展(横浜美術館、2013)、「高嶺格:とおくてよくみえない」展(横浜美術館、広島市現代美術館、IKON Gallery・バーミンガム、鹿児島県霧島アートの森、2011)ほか。「横浜トリエンナーレ」に2005年展から携わり、2020年展では企画統括を務める。 Portrait Photo: KATO Hajime