BLUM外観
ロサンゼルスと東京・表参道に拠点を構える著名ギャラリー「ブラム(BLUM)」について、代表ティム・ブラムが実店舗営業を終了し、従来のギャラリー・モデルからの脱却を目指す考えを示したと「ARTnews」が7月1日に報じた。
前身となるギャラリー「ブラム・アンド・ポー」は、ティム・ブラムとジェフリー・ポーによって1994年にカリフォルニア州サンタモニカにて設立された。あらゆるジャンルの国際的な現代美術を紹介することを志向し、国際的なアートマーケットを牽引。2023年にポーが独立したのちは、「ブラム」と名称を変えた。報道によると、事業縮小は何年も前から検討されてきたことだという。
ニューヨーク・トライベッカへの移転も発表されていたが、この新店舗もオープンしない可能性がある。
現在東京では、「Surface and Signal」展が8月2日まで開催されているが、東京とロサンゼルスの実店舗は、今夏の展覧会を最後に閉鎖するという。
「ARTnews」に対しティム・ブラムは、「うまく機能していない。うまくいっているように見えたときでさえ、これまでもずっとうまくいっていなかった」と語っている。現代のギャラリーを取り巻く構造について、フェアや展覧会のオープニングが相次ぎ、ギャラリーへの期待が高まり、要求が厳しくなっている状況に難しさを感じているようだ。ギャラリーという形式そのものが限界に達しているという感覚を持ち続けていたと語り、今回の決断は経済的理由ではなく、「燃え尽き症候群」のような精神的な疲弊によるものだと説明している。
ブラム・アンド・ポー時代から、村上隆や奈良美智をはじめ、岡﨑乾二郎、五木田智央、上田勇児など数多くの日本人アーティストらを取り扱ってきたブラム。今年2月には元永定正と中辻悦子の所属、また6月には三島喜美代のエステートと専属契約を交わしたと発表したばかりだった。
ブラムは今後、所属アーティストリストを維持せず、代わりに、「より柔軟なモデル」によってアートシーンに関わるというが、関係者やシーンへの影響は大きいだろう。
今回の決断はアートマーケットの構造に一石を投じるものとなるのか、また今後は具体的にどのような活動を行なっていくのか、注視したい。