千葉市美術館で開催中のNerhol(ネルホル)の個展「Nerhol 水平線を捲る」(9月6日〜11月4日)で、Nerholとウェブアプリ「FUN FAN NFT」がコラボレーション中だ。
「FUN FAN NFT」とは、スタートバーン株式会社が提供するNFT(非代替性トークン)のオフライン体験を実現するウェブアプリのこと。アーティストやイベント主催者、店舗や施設など、様々な事業者がNFTを作成でき、来場者はQRコードを通じて手軽にNFTを取得できる。
日々の対話を端緒に制作を行ってきたNerholは、活動を外部へと拡張しながら、これまで様々なコラボレーションを生み出してきた。本展では、Nerholが企画を模索するなかでスタートバーン株式会社代表取締役の施井泰平とやりとりを重ね、ブロックチェーンに関心を寄せたことをきっかけに同社が提供するNFTを展覧会に実装。来場者は「FUN FAN NFT」にログインし、スタンプラリー形式で会場のQRコードを6個取得すると、コンプリート特典としてNerholのNFT作品を入手できる。
Nerholの近年の作品モチーフのひとつに、グローバリゼーションを礎に発展してきた人間の社会活動などの影響を受け、日本国内に持ち込まれ野生化した帰化植物がある。国境を越え、移動と繁殖を続ける帰化植物は、Nerholにとって世界の複雑な事象とその関係性を読み解くための重要な対象だ。今回のデジタルスタンプラリーでは、QRコード一つひとつに美術館周辺に自生する帰化植物が埋め込まれている。
今回のコラボレーションに際してNerhol、スタートバーンはそれぞれ次のようなコメントを寄せている。
千葉市美術館はさや堂ホールという旧銀行の建物を保存するかたちで建築された。展覧会場も7、8階に加えて常設展示室、美術図書室など階層が分かれる。そんな建物を散策するように巡って欲しいと思いました。 僕らが制作するうえで大切にしているコミュニケーションは人同士だけではなく植物や環境にまで及びます。何か違った目線を持ち、様々な角度から物事をとらえられるように、今回の展示を散策するように見てほしいと思いました。FUN FAN NFT のスタンプラリーはそんな散策を展示会場で擬似的に体験でき、持ち帰ることができるツールです。 発見は様々なところにある。探索を楽しみながら鑑賞してほしいと思います。(Nerhol)
NFTマーケットの喧騒が収まり、本質的な技術について語れる空気になってきたこの時期に、アートの制作と展示に本気で向き合っているNerholのようなアーティストユニットとコラボレーションできることに重要な意味があると感じています。NFTは時を隔てて体験を継承する特性がありアートと相性が良い。NFTの先入観から距離を起き、美術展に時の経過を楽しむという深みを加えられればと思っています。(スタートバーン)
スタンプラリー形式で気軽にアートとデジタルテクノロジーの融合を体験してほしい。
「Nerhol 水平線を捲る」(千葉市美術館)のレポートはこちらから。