ジャスト・ストップ・オイルのX投稿より、絵画への攻撃の様子
環境活動団体「ジャスト・ストップ・オイル(Just Stop Oil)」が、美術館での絵画攻撃を伴う抗議活動を終了すると発表した。
「ジャスト・ストップ・オイル」は、これまでイギリスを中心とする世界各地の美術館で著名な絵画に対する攻撃を行うことで、化石燃料の使用停止を訴えてきた。一連の抗議活動において、2022年と24年にロンドン・ナショナル・ギャラリーでフィンセント・ファン・ゴッホの絵画《ひまわり》にスープを浴びせたり、同館でディエゴ・ベラスケス《鏡のヴィーナス》の保護ガラスを攻撃したり、クロード・モネやジョン・コンスタブルら巨匠による作品をターゲットにしたほか、ストーンヘンジにオレンジ色の粉末塗料を吹きかけたりしてきた。攻撃された絵画は基本的に永久的な傷は受けず被害は最小限だったが、こうした方法が美術界を巻き込み大きな波紋を呼んできた。
しかし、3月下旬に発表された声明によると、同団体は今後、美術館での破壊的な抗議活動を行わない方針を決定。ジャスト・ストップ・オイルは「新たな石油・ガス開発の停止」を求めてきたが、2024年にイギリスで労働党が大勝して政権交代が起きたことで、こうした要求がすでに政府方針になっているという。同団体は4月26日に国会議事堂広場で「最後のアクション」を行うが、その後はジャスト・ストップ・オイルとしては活動しないと発表した。
主にイギリスの美術業界からは、この決定を歓迎する声も多いという。これまで「ジャスト・ストップ・オイル」の行動に対しては賛否が分かれており、一部では「アートを傷つけることが本当に正しい手段なのか」という疑問が投げかけられていた。
いっぽうで、喫緊の環境問題に目を向けさせるその直接的な活動には、留保つきながら評価する意見も寄せられた。美術ライターのエディ・フランケルは「ArtReview」に寄せたコラムで、「ジャスト・ストップ・オイルが気づかせてくれるのは、私たち全員がいかに無力であるかということ」「気候に配慮したほかのほとんどの芸術の気が遠くなるほど偽善的で無益なものと(ジャスト・ストップ・オイルの行動とを)比べてみるべき」と指摘する。
気候危機は未だ回避されておらず、そうしたなかで美術業界に属する人々や美術ファンは、いったい何をすることができるのだろうか。ジャスト・ストップ・オイルが行ってきた抗議活動については、作品を攻撃したことへのたんなる批判に留まらない、より多角的な検証が今後も求められるだろう。
福島夏子(編集部)
福島夏子(編集部)