公開日:2025年2月27日

ヤノベケンジによる「宇宙猫の島」が湖に浮かぶ。新たな現代美術館「ハイパーミュージアム飯能」がメッツァにオープン

「自然とデジタル」「キャラクターアート」をテーマに据える新スペース。オープニング展として、ヤノベケンジ「宇宙猫の秘密の島」が3月1日〜8月31日に開催(撮影:編集部)

《宇宙猫の島》展示風景

埼玉県飯能市の北欧ライフスタイル体験施設「メッツァ」内に開業

新たな現代美術館「HYPER MUSEUM HANNO(ハイパーミュージアム飯能)」が、3月1日にオープンする。

「ムーミンバレーパーク」のある埼玉県飯能市のレジャー施設「メッツァ」内に開業するハイパーミュージアム飯能は、「自然とデジタル」「キャラクターアート」をテーマに据える。

ハイパーミュージアム飯能 外観

北欧のライフスタイル体験施設であるメッツァの豊かな自然のなかに位置し、最新のデジタル技術も駆使しながら、館内だけでなく野外展示や体験型ワークショップなども行っていく。さらに「アートコンテンツのラボ」として、アートにおける「キャラクター」や「ストーリー」の役割を重視しながらコンテンツの開発も行う。館長を務めるのは京都芸術大学教授の後藤繁雄。ミュージアムロゴをたかくらかずきが手がけた。

左から、望月潔(株式会社メッツァ代表取締役社長)、ヤノベケンジ、後藤繁雄

敷地内の湖に、眠り猫の巨大な浮島が出現

オープニング特別企画展として3月1日から8月31日まで、ヤノベケンジ「宇宙猫の秘密の島」が開催される。

1990年代に《タンキング・マシーン》で登場し、《トらやん》《ラッキードラゴン》《サン・チャイルド》など時代の物語を包括した強烈なインパクトを持つキャラクターの巨大彫刻を作り続けているヤノベ。本展では、地球に生命をもたらした宇宙猫の物語を表現したGINZA SIXでの大規模展示「BIG CAT BANG」の続編として、メッツァ敷地内の宮沢湖に眠り猫の巨大な浮島を出現させた。

《宇宙猫の島》展示風景

ヤノベが宮沢湖の風景を見て「何かイマジネーションを刺激するものを作りたい」とインスピレーションを受けたことが、この人工島を作るきっかけだったという。太古に宇宙の彼方から地球に到着した宇宙猫が、各地に散らばって「生命の種」を地球にもたらし、「文化」を伝えた──そんな物語が本作のベースとなっている。中にはバスタブや猫のアトリエがあり、観客はボートに乗って島を間近で鑑賞したり、時には上陸することもできる。

《宇宙猫の島》の内部
《宇宙猫の島》の内部

《トらやん》《ラッキードラゴン》の絵本原画など約80点を展示

屋内の展示室内には、「BIG CAT BANG」のバックストーリーと、猫の仲間たちの立体作品や原画が結集。1990年の作家デビューからの約35年を振り返り、現在までの経緯に接続する作品を立体、原画、特別映像で構成する。

会場では、絵本『トらやんの大冒険』『ラッキードラゴンのおはなし』のすべての原画を展示。そこでは、ビキニ環礁の水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」をモチーフに、仲間とともに世界に希望を取り戻す旅の船が描かれている。

中央:サン・チャイルド(ステンドグラス) 2012
シップス・キャット(ジャーニー・オブ・ライフ) 2024
右:《シップス・キャット(モフモフ 22)》(2022)展示風景

象の背中に子供用の映画館を乗せた作品《青い森の映画館》では、「トらやん」とその誕生のきっかけとなったヤノベの実父が核攻撃から生き延びるための術を孫たちへ伝える教育番組が上映。また本展では、4本のアートドキュメンタリーを編集した特別映像の上映も行われる。

青い森の映画館 2006
ヤノベケンジ「宇宙猫の秘密の島」会場風景

さらに、スタンプラリーをしながら宇宙猫の顔を完成させる子供向けのワークショップ「ハイパーキッズプログラム」も実施。約80点の作品が集う大規模な企画展となる。

ヤノベケンジ

なお、ハイパーミュージアム飯能では、今後もjunaida、たかくらかずき、草野絵美、増田セバスチャンらの個展の開催を予定している。屋内の展示だけでなく、森と湖の豊かな自然環境を活用した屋外アートインスタレーションも展開していく。

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