LGSA by EIOS ©︎ LGSA by EIOS, Photo ©︎ Shu Nakagawa
大山エンリコイサムスタジオが運営するストリートアートの資料室「LGSA by EIOS(ラグサ バイ エイオス、Library and Gallery of Street Art by Enrico Isamu Oyama Studio)」が、10月30日に渋谷・桜丘町にオープンする。
アーティストの大山エンリコイサムのスタジオが手がける「LGSA by EIOS」は、ストリートアートとエアロゾル・ライティング、および隣接する文化領域についての社会理解の浸透と向上を目的に開室。資料の収集・管理・公開を中心に、展覧会やトークイベントなど複合的なプログラムを実施し、ストリートアートをめぐる言説環境の整備に従事することを目指す。
資料室はJR渋谷駅新南改札から徒歩5分の場所に位置する約35平米の空間で、展示エリアと書架エリアから構成。来室者は予約せずに両エリアを閲覧することができる。
書架エリアには本室の要となる管理資料を収納しており、展覧会の関連資料や注目の新規資料を選定した書棚も展開。利用者は室内中央の閲覧デスクやデータベース(2026年に公式ウェブサイトで公開予定)検索用モニターも利用することができる。展示エリアでは、管理資料を軸にした研究の成果を踏まえ、独自に企画した展覧会を行っていく。
現在の管理資料は大山エンリコイサムがこれまで収集してきた資料をベースに、入門書や世界的に貴重な資料を含む書籍、印刷物、映像、プロダクトなど多岐にわたり、約500点におよぶ。対象領域は70〜80年代のニューヨークを中心にしたストリートアートを軸に、古代から現代、西洋から東洋まで、時代や地域を超えて路上や公共の場における多様な表現文化を範囲とし、さらに絵画や書、都市や建築など、隣接領域の資料も揃える。利用登録をすると、資料を手に取って閲覧デスクで読むことが可能になるほか、有料にて複写サービスや貴重書のビューイング(スタッフ同伴)も提供される。
さらに展示や資料と関連したトーク、読書会、スクール、動画の公開収録といったプログラムも順次展開。
展示エリアでは初回の企画展として、10月30日〜2026年4月5日に「The New Beginning──2000年代の渋谷におけるライブペインティング」を開催する。
平成中期、2000年代の渋谷のクラブシーンは、大山がライブペインティングを活発に行なった場所であり、活動の原点のひとつになっている。本展では、3つのモニターを使って、当時渋谷がクラブ文化の中心になっていくなかで撮影されたライブペインティングの映像を公開する。
ストリートアートの資料や情報にアクセスできる常設のスペースという画期的な試み。新たな研究拠点としての「LGSA by EIOS」の活動に注目したい。