公開日:2025年11月10日

東京国立近代美術館で「杉本博司 絶滅写真」展、竹久夢二展、下村観山展など。2026年度の展覧会スケジュールが公開

コレクション展では、新収蔵品のメダルド・ロッソ《Ecce Puer(この少年を見よ)》をお披露目

杉本博司 相模湾、江之浦 2025 ゼラチン・シルバー・プリント 119.4×149.2cm © Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi

東京国立近代美術館、2026年の企画展・コレクション展は?

東京国立近代美術館で2026年度に開催される展覧会のスケジュールが公開された。

12月16日からは「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」が開催される同館。1950〜60年代の日本の女性美術家による創作を「アンチ・アクション」というキーワードから見直す展覧会で、中嶋泉著『アンチ・アクション』(2019)のジェンダー研究の観点を足がかりに、草間彌生、田中敦子、福島秀子ら14名の作品およそ120点が紹介される。現在開催中の豊田市美術館(10月4日〜11月30日)に続き、東京国立近代美術館(12月16日~2026年2月8日)、兵庫県立美術館(2月28日〜2026年5月6日[予定])と巡回する。

ここでは、同展に続く企画展およびコレクション展のラインアップを紹介する。

下村観山展/2026年3月17日〜5月10日

日本画家・下村観山(1873〜1930)の、関東圏では13年ぶりとなる大規模な回顧展。紀伊徳川家に代々仕える能楽師の家に生まれた下村観山は、幼時より画の才能を発揮し、東京美術学校に第1期生として入学。卒業後は同校で教鞭を執ったのち、校⾧の岡倉天心とともに辞職した後は、日本美術院の設立に参加し、岡倉の指導のもとで横山大観、菱田春草らと新時代にふさわしい日本美術の道を切り拓いた。古画の模写・模造事業への参加やイギリス留学・欧州巡遊などを通して技術力に磨きをかけ、《木の間の秋》(1907)、《小倉山》(1909)といった作品には、やまと絵や琳派の伝統的な技法と西洋画由来の写実的な表現を融合させた成果が見られる。

本展では、観山の代表作を通して作家の画業をたどるとともに、最新の研究成果も盛り込みながら、日本の近代美術史における観山芸術の意義を改めて検証する。

杉本博司 絶滅写真/2026年6月16日〜9月13日

現代美術、建築、舞台芸術をはじめ、書、陶芸、和歌、料理など多岐にわたる領域で活躍する杉本博司(1948〜)。その芸術の原点には銀塩写真がある。確固たるコンセプトに基づいて制作された作品は、銀塩写真の技術としても頂点を極めるものであり、写真がデジタルに置き換わったいま、その技法は「絶滅が危惧される」ものとも言える。

本展では杉本の初期にあたる1970年代後半から現在までの銀塩写真約65点を展観。写真作品で構成する美術館個展としては、2005年の森美術館以来となる。さらに所蔵作品ギャラリー3階では、東京国立近代美術館が所蔵する杉本作品全点と、未公開資料「スギモトノート」をサテライト展示する。詳細はニュースをチェック。

2026年10月からは竹久夢二展も。コレクション展では新収蔵品をお披露目

このほか、企画展として2026年10月23日〜2027年1月11日に「竹久夢二 時代を創る表現者」が行われる。

2~4階所蔵品ギャラリーでは、「所蔵作品展 MOMATコレクション」を開催。国内最大級となる14000点近くのコレクションから、年4、5回の会期ごとに約200点を小特集を交えながら紹介する。現在開催中の「所蔵作品展 MOMATコレクション」は2026年2月8日まで。長らく国外への貸出が続いていた奈良美智《Harmless Kitty》(1994)が約2年ぶりに同館で公開されているほか、写真家・細江英公の初期代表作《薔薇刑》など展示されている。

奈良美智 Harmless Kitty 1994 © Yoshitomo Nara

次回の「MOMATコレクション」の会期は2026年3月3日〜5月10日となり、2025年度の新収蔵品であるメダルド・ロッソ《Ecce Puer(この少年を見よ)》をお披露目する。2026年5月以降の所蔵作品展については順次発表される。

メダルド・ロッソ Ecce Puer(この少年を見よ) 1920-25頃 撮影:大谷一郎

さらに毎年恒例、桜の時期に行われる「美術館の春まつり」を3月中旬~4月上旬に開催予定。皇居や千鳥ヶ淵、北の丸公園といった桜の名所エリアに立地する同館にて、桜や春を描いた名画の特集展示を中心に展開する。

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