「⽇本画アヴァンギャルド KYOTO 1948-1970」が京都市京セラ美術館で2月から開催。戦後京都画壇の批評精神と創造性に着目

戦後京都で⽣まれた⽇本画の反⾻的創造運動に光を当てる

特別展「⽇本画アヴァンギャルド KYOTO 1948-1970」が、2026年2⽉7⽇〜5⽉6⽇に京都市京セラ美術館 新館 東⼭キューブで開催される。

本展では、戦後京都で⽣まれた⽇本画の反⾻的創造運動を「⽇本画アヴァンギャルド」と称し、その活動に光を当てる。1940年代以降に結成された3つの美術団体──創造美術、パンリアル美術協会、ケラ美術協会を中⼼に、⽇本画の“枠”を問い直し、新たな表現を模索した気鋭の画家とその軌跡を紹介。京都画壇の批評精神と創造性に着⽬し、現代に連なる⽇本画のもうひとつの系譜をひもとく。

本展で紹介する3つの団体とは？

創造美術は1948年に創立。世界性に⽴脚する⽇本絵画の創造を標榜し、東京と京都の意欲的な⽇本画家が呼応して結成された在野団体だ。既存の画壇から脱却し、⾃由にして純粋なる環境を求めた。現在も「創画会」として存続している。本展では、上村松篁、菊池隆志、向井久万、奥村厚⼀、秋野不矩、沢宏靭、広⽥多津ら京都側の創⽴委員の作品を中心に展示する。

1949年に創⽴し、2020年に解散したパンリアル美術協会は、京都市⽴絵画（美術）専⾨学校⽇本画科の卒業⽣が中⼼となって発足した前衛団体。意欲に燃える若⼿画家たちが、戦後の⾰新的運動として活動を始め、社会の現実を反映させながら、抽象表現や先端的な⻄洋美術を取り⼊れて⽇本画の再起を⽬指した。本展では創⽴会員である三上誠、⼭崎隆、星野眞吾、不動茂弥、⼤野秀隆（俶嵩）、下村良之介らの作品が紹介される。

ケラ美術協会は、1959年創⽴し、1964年に解散。京都市⽴美術⼤学（現・京都市⽴芸術⼤学）⽇本画科出⾝の若⼿画家らによって結成された前衛団体だ。「⽇本画」の概念にとらわれることなく、より広い視点から「真に創造的な絵画」を⽣み出すことを⽬指し、油絵具やエナメル塗料、ビニール塗料、墨汁、ペンキ、さらには漆や蝋、⽯膏、布、⽯など、⽇本画の顔料以外も画材とした。本展では主に創⽴から活躍した岩⽥重義、楠⽥信吾、久保⽥壱重郎、榊健、野村久之らの作品を展示する。

⽇本画界に巻き起こった「アヴァンギャルド」を戦禍の⽖痕が残る京都の社会とともに振り返る本展。戦後の社会状況を⽰す資料もあわせて展示され、当時の社会や街の変化にも触れることができる。既成の「美しさ」を覆す自由な挑戦から生まれた、これまでの日本画のイメージを覆すような作品群が多数並ぶことも見どころのひとつとなっている。

なお本展は会期中⼀部に展⽰替えあり。前期は2⽉7⽇〜3⽉1⽇、中期は3⽉3⽇〜4⽉5⽇、後期は4⽉7⽇〜5⽉6⽇。