公開日:2025年5月21日

ワタリウム美術館「Oriza」プロジェクトが始動。第一弾は杉本博司の新作マルチプルを販売

民間による新たな文化的遺産支援の仕組みを創出することを目指すプロジェクト

右:杉本博司「WATARIUM ART MUSEUM 2025」 左:杉本博司 Photo: Masatomo Moriyama

資金を文化施設の支援に活用するプロジェクト

東京のワタリウム美術館が、新プロジェクト「Oriza(オライザ)」を始動した。現代アーティストの作品をマルチプルとして制作し、国内外のコレクターに提供、そこで得られた資金を様々な文化施設の修復や運営に活用していく。

第一弾として、現代美術家・杉本博司による新作マルチプル作品《WATARIUM ART MUSEUM 2025》を発表した。

杉本博司  「WATARIUM ART MUSEUM 2025」 ピグメントプリント(サイン入り/桐箱・フェルト布付)  エディション数:限定25点 156×129×47mm(箱) 130×102mm(プリント)

今年で35周年を迎える私立美術館である同館は、建物と施設の老朽化から大掛かりな修復が必要となったことをきっかけに、有志とともに本プロジェクトを立ち上げた。日本の文化行政において公的な支援を得にくく、運営の難しさを抱えていたという同館が、本プロジェクトを通して「文化資源の維持・発展を支える持続可能なエコシステム」を創出していくという。

杉本博司 Photo: Masatomo Moriyama

第一弾となる杉本博司のマルチプル作品は、建築家マリオ・ボッタが設計した文化的遺産であるワタリウム美術館の建物を作家が撮影し、そのピグメントプリントを限定エディションとして制作したもの。限定25点で杉本の直筆サイン入り、日本伝統の桐箱に納めて販売される。価格は6000USドル(税・送料別)。抽選受付は5月26日~6月4日、公式サイトから申込できる。

「Oriza」の活動内容は、文化的遺産の保護・修復・運営の支援を目的に、現代アーティストの作品をマルチプルとして制作、販売。クリプト決済などデジタル技術を導入し、国内外からのユーザーからの支援を拡大するほか、アーティストのアトリエツアー、食事会、文化的遺産の貸切など体験型プログラムを企画していくという。今後は同館のみならず、コラボレーションするアーティストと支援先の文化的遺産を拡充し、より多くの文化資源の維持・発展を目指す。

Art Beat News

Art Beat News

Art Beat Newsでは、アート・デザインにまつわる国内外の重要なニュースをお伝えしていきます。