今年のシルバーウィーク期間は9月16日(月)と、23日(月)というのふたつの祝日がお休み。ゴールデンウィークのような大型連休ではないですが、夏休みに見逃した展覧会や9月スタートの展覧会に足を運んでみる絶好のチャンスと言えるかもしれません。本記事ではシルバーウィーク期間(9月14日~23日)に西日本で開催される展覧会のなかから編集部が注目する展覧会を紹介します。
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能登半島地震の影響による長期休館からの再開を飾る本展は、同館の収蔵作品を紹介するコレクション展。イギリスの人類学者、ティム・インゴルドの著書『ラインズ 線の文化史』がインスピレーション源となっており、多面的で発展的な世界のつながりを作品を通じて示す機会となっている。参加アーティストは、横山奈美、エル・アナツイ、ティファニー・チュン、サム・フォールズ、大巻伸嗣、ジュディ・ワトソンなど。TABでは参加アーティストの大巻伸嗣と同展担当キュレーターの黒澤浩美へのインタビューも公開中。展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:金沢21世紀美術館
会期:6月22日~10月14日
「何が表現されているのか」といったことよりも「どのようにこの作品が制作されているのか」という技術的な側面に焦点が当たることの多い工芸展だが、本展はむしろ作家の心象表現や社会との関わりに注目し、鑑賞者に新しい工芸の見方を提示することを試みる展覧会となる。参加アーティストは、布に針目を重ねた作品を制作する刺繍作家の沖潤子や、現代における「死生観」と「再生」をテーマにした作品を制作する髙橋賢悟ほか、現代の工芸表現を提示する6名の作家がラインナップされている。
会場:国立工芸館
会期:9月6日〜12月1日
東京国立近代美術館で開催されたTORIO展が大阪にも巡回。パリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館という3館のコレクションから、共通点を持つ作品をトリオとして並べて展示する本展。絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など150点あまりの作品で34のトリオを組み、モダンアートの新たな見方を提示する。東京国立近代美術館での展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会期:大阪中之島美術館
会期:9月14日~12月8日
ベルリンを拠点に活動する現代アーティスト塩田千春の大規模個展が、彼女の故郷である大阪で9月から開催される。パンデミックを経てより注目が集まった他者との「つながり」に、3つの「アイ」=「私/I」「目/eye」「愛/ai」を通じてアプローチすることを試みる本展。インスタレーション作品を中心に、絵画、映像などが出展される予定だ。 詳細はこちらのニュースから。
会場:大阪中之島美術館
会期:9月14日〜12月1日
ワタリウム美術館の「エキシビション メーカー」(〜8月4日)やOMOTESANDO CROSSING PARKの「Made in Shiga|Deep Japan Contemporary」(~8月26日)など、今年度もっとも精力的に展示活動を行う美術家のひとりである梅津庸一。そんな彼の過去最大規模の個展が国立国際美術館で開催中だ。「この国で美術家として生きることはいかにして可能なのか」という問いかけを起点に「人がものをつくる」という行為の可能性について根本から再考する。詳細はこちらのフォトレポートから。
会場:国立国際美術館
会期:6月4日〜10月6日
本展は、京都国立近代美術館(MoMAK)と京都服飾文化研究財団(KCI)が共同で開催するファッションの展覧会。KCIが所蔵する18世紀から現代までの衣装コレクションや、人間の根源的な欲望を照射するアート作品を通じて、ファッションとの関わりにみられる様々な「LOVE」のかたちを考察。人間の普遍的な営みである服を着ることの意味をひもとく。詳細はこちらのニュースから。
会場:京都国立近代美術館
会期:9月13日〜11月24日
世紀末の巨匠のひとり、ジョルジョ・デ・キリコの大規模個展が神戸に巡回。彼の代表作「形而上絵画」(幻想的な風景や静物によって非日常的な世界を表現する絵画)は、サルバドール・ダリやルネ・マグリットといったシュルレアリスムの画家たちにも大きな影響を与えたと言われる。東京都美術館での展示の様子はこちらのフォトレポートから。
会場:神戸市立博物館
会期:9月14日〜12月8日
モードの最先端で活躍したヘア&メイクアップアーティスト、加茂克也(1965〜2020)。時代性と先進性に加え、彫刻のような普遍的な美を持つ加茂のヘッドピースは、ファッションでありつつ、唯一無二のアートピースとして強い存在感を放ってきた。本展は、トップブランドのファッションショー等で実際に使用したヘッドピースを中心に、立体作品や資料を交えながら、加茂の創作活動を包括的に紹介する。
会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)
会期:6月30日~9月23日
「森の芸術祭」は今年度が第1回となる芸術祭。キュレーターは、金沢21世紀美術館館長・長谷川祐子が務める。これまでアートに関するイベントがあまり開かれてこなかった岡山県北部を舞台に、自然と人間との関わりについて、多様なかたちでプレゼンテーションを行うような芸術祭となる予定だ。参加アーティストは森山未來、川内倫子、坂本龍一+高谷史郎、レアンドロ・エルリッヒ、アンリ・サラ、キムスージャ、リクリット・ティラヴァニほか。詳細はこちらのニュースから。
会場:奈義町現代美術館 ほか
会期:9月28日〜11月24日
「大正ロマン」を象徴する画家であり、詩人でもあった竹久夢二(たけひさ・ゆめじ)の生誕140年を記念した展覧会が岡山へ巡回。新たに発見された《アマリリス》をはじめとする油彩画や素描など、初公開資料を含む約180点の作品が紹介され、価値観が劇的に変化しつつあった20世紀の前半に時代の立役者となった竹久夢二の魅力を堪能できる展覧会となる。東京都庭園美術館での展示の様子はアーティスト・清川あさみと担当学芸員によるこちらのインタビューから。
会場:夢二郷土美術館 本館
会期:9月7日〜12月8日
ホキ美術館は千葉県・千葉市に位置する、写実絵画専門の美術館。本展は同館が所蔵する約500点ものコレクションの中から選りすぐりの人気作品64点が、福岡アジア美術館で一挙に紹介される。写真や映像と見違うほど精緻でありながら、それらのメディアとはまた異なった存在感を放つ写実絵画の魅力を存分に楽しむことができる機会となりそうだ。
会場:福岡アジア美術館
会期:9月7日〜10月13日
沖縄の近代彫刻作品は、1951年の「第3回沖展」で彫刻部門が開設されたことを契機に、より活気づいていく。また、1986年の沖縄県立芸術大学の開学後は県外から多くの指導者が訪れたことにより、従来の沖縄彫刻において主流であった人物像のみならず、抽象的な造形などの多種多様な立体作品が制作されるようになった。本展はこのような歴史的背景を踏まえ、同館が収蔵する戦後の「沖縄の彫刻たち」を紹介する機会となる。
会場:沖縄県立博物館・美術館
会期:7月13日〜2025年1月19日
井嶋 遼(編集部インターン)