公開日:2025年7月25日

坂本龍一、大阪で初の大規模企画展「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」が開催決定。VS.(グラングリーン大阪内)にて8月30日から

会期は8月30日~9月27日。万博からのインスピレーション、東京都現代美術館で展示されたインスタレーション作品も

坂本龍一の真髄を大阪で

大阪で初となる坂本龍一の大規模企画展「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」が開催される。会場は、「グラングリーン大阪」内のスペース「VS.(ヴイエス)」。会期は8月30日から9月27日まで。

2024年度末に東京都現代美術館で開催された展覧会「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が、34万人超を動員し同館史上最多来場者数を記録したことも記憶に新しい。本展では、東京都現代美術館で披露されたインスタレーション作品も数作品展示される。

本展のキーワードは「1970年の坂本龍一」。18歳だった坂本が、1970年に開催された日本万国博覧会(大阪万博)を訪れ、音楽や美術に触れた原体験を起点とし、それがどのように彼の創作の源泉となったかを辿る構成となっている。

当時、万博の各パビリオンでは無調の電子音楽や実験音楽が鳴り響いていた。坂本が敬愛した武満徹の《クロッシング》《四季》、高橋悠治《慧眼》、湯浅譲二《スペース・プロジェクションのための音楽》、そして西ドイツ館ではカールハインツ・シュトックハウゼンによる《Spiral》の連日上演が行われていた。

また、「ペプシ館」では中谷芙二子による霧の彫刻、鉄鋼館ではクセナキスの《Hibiki Hana Ma(響き・花・間)》、フランソワ・バシェによる音響彫刻の展示も行われており、坂本はこれらを五感で体験した。こうした出会いは、後の坂本の音楽活動に決定的な影響を与えた。当時、注目を集め始めていたシンセサイザー電子音楽の世界も、坂本にとって大きな刺激となったという。

坂本は2016年以降、1970年の大阪万博で展示されたバシェの音響彫刻を演奏・録音する機会を得て、その音を自身の作品に取り入れていた。それらの試みは2017年のアルバム《async》に結実し、最晩年に制作した劇場作品《TIME》にも活かされた。

2025年、再び大阪で万博が開催されるこの年に、若き日の坂本が受けた衝撃を、彼が遺した作品や思想として次世代に共有することはできないか——。その思いから生まれたのが本展だ。

1970年の大阪万博のために制作されたバシェの音響彫刻を展示するほか、東京藝術大学のバシェ修復プロジェクトチームが坂本のために制作した新たな音響彫刻を展示。また、坂本の演奏データをもとに、彼が愛用したグランドピアノで再生するプログラムも予定されている。

チケットは事前オンライン予約制。8月1日午前10:00から販売される。

主な展示作品:
坂本龍一 + 高谷史郎《LIFEーfluid, invisible, inaudible…》
Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2025 – D
バシェの音響彫刻
坂本龍一 on async
坂本龍一 + Zakkubalan《async–volume》
坂本龍一 + アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》
アピチャッポン・ウィーラセタクン《Durmiente》
坂本龍一『Ryuichi Sakamoto: Playing the Baschet』,『12』 360 Reality Audio
坂本龍一アーカイブ: 1970 -
Sakamoto Library – Extension | 坂本図書 分室

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