野口哲哉 floating man 2025 ミクストメディア Photo:⻑橋睦
箱根の彫刻の森美術館で、現代アートの創造性を紹介するシリーズ第9弾として、現代美術作家・野口哲哉の個展「野口哲哉 鎧を着て見る夢 –ARMOURED DREAMER–」が開催される。野口にとって3年ぶりの大型個展となる。会期は7月19日から2026年1月12日まで。
本展は、「鎧と人間」をテーマに、文明社会や人間の本質に迫る野口の作品約75点を展示。会場には、1969年の開館当初の雰囲気を残す本館ギャラリーが使われるほか、屋外の彫刻スペースも活用。箱根の自然と作品が交差する、新たな鑑賞体験が用意される。
野口は、歴史的なモチーフである「鎧」を単なる装飾や防具としてではなく、「生物の殻」として捉える。
作品には樹脂やアクリルなどの現代的な素材が用いられており、リアルな質感とともに、作家独自の視点による多様性やアイロニカルな要素が表現されている。伝統的な日本美術に見られる演劇的な表現とは異なり、細部まで丁寧に作られた造形が、静かに鑑賞者の想像力を喚起する。
本館ギャラリーの特徴を生かし、会場は各展示室を巡ることで物語が立ち上がるような構成に。約75点におよぶ多彩な作品が、知性と感性の両面に働きかけ、鑑賞者との対話を促す。
会期中には新作の追加展示も予定されており、今後の展開にも期待が高まる。