公開日:2025年12月8日

東京オペラシティ アートギャラリー、2026年度の展覧会スケジュールが発表

シュルレアリスム展、青木淳とリチャード・タトルの二人展、ダン・グレアム展、カイ・フランク展など。「project N」のラインアップも

Dan Graham Clinic for a Suburban Site 1978 Architectural model, mixed media 34.5x106.3x71.9cm Edition 2 of 3 © Dan Graham. Courtesy of Dan Graham Estate, Marian Goodman Gallery, and Taka Ishii Gallery / Photo: Kenji Takahashi

国内外の近代から現代の美術を扱う複合文化施設・東京オペラシティ アートギャラリー。アーティストの多様な表現活動を紹介する企画展を年に4回程度開催している。このたび同館で行われる2026年度の展覧会ラインアップが公開された。企画展と同時開催で国内の若手作家を紹介するシリーズ「project N」や収蔵品展とあわせて、4つの展覧会の見どころをお届けする。

「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」/2026年4月16日〜6月24日

1924年にアンドレ・ブルトンが定義づけ、フロイトの精神分析学に影響を受けた文学運動として発生したシュルレアリスム。理性によって分断された世界を乗り越え、新しい現実を求めようとするあらゆる創造行為を指し、「日常を変える」ことと「世界を変える」ことをひと続きにとらえたこの運動は、雑誌や広告、ファッション、室内デザインといった日常に密接した場面にも広がり、社会全体に影響をもたらした。本展では、国内に所蔵されている様々なジャンルの優品が一堂に会し、「新しいシュルレアリスム像」を示すことを試みる。

ルネ・マグリット 王様の美術館 1966 横浜美術館

同時開催の収蔵品展は、幻想的な事物をテーマにした作品を紹介する「幻想の景色と不思議ないきものたち」。project Nは、大上巧真展を開催する。

大上巧真 blueprint 2023 撮影:Ryusei Okada

「ほぼ空:青木淳 + リチャード・タトル」/2026年7月18日〜9月23日

美術家のリチャード・タトルと、建築家の青木淳の二人展。自身にとって美術作品は“光”であり、ある瞬間にとらえた真実、美しさ、充足感を他者と分かち合う媒体だというタトルと、建築とは“空気”であり、人それぞれが持つ異なる価値観や速度を許容する自由な空間を作ることだという青木。本展では、ともに作品が領域を軽やかに超える親和性を持つ両者がコラボレーションし、同館の空間の潜在力を美術と建築の双方向から別様に引き出すことを試みる。

「青木淳+リチャード・タトル」展覧会プラン 2025

同時開催の収蔵品でも企画展と連動し、「青木淳が選ぶコレクション」を実施。project Nは東山詩織展を行う。

東山詩織 Blue Gingham Sheet 2025 個人蔵 撮影:坂本理

「ダン・グレアム」/2026年10月17日〜12月20日

1942年にイリノイ州に生まれ、ニューヨークで活動を始めたダン・グレアム。ギャラリー運営から雑誌広告の体裁をとった作品、写真、ヴィデオ、建築的立体作品の制作、批評やエッセイの執筆など、多様な実践で知られ、その活動は近年再評価が進む。2022年、79歳で死去したグレアムが、最後に取り組んだのは終生関心を注いだ建築をテーマにした展覧会のキュレーションだった。本展では前半で、初期から晩年までグレアムの代表作を展覧し、後半はポルトガルで開催された建築展「Not Post-modernism」を「遺作」として展開。グレアムと親交が深かったアトリエ・ワンが会場構成を手がける。

Dan Graham Clinic for a Suburban Site 1978 Architectural model, mixed media 34.5x106.3x71.9cm Edition 2 of 3 © Dan Graham. Courtesy of Dan Graham Estate, Marian Goodman Gallery, and Taka Ishii Gallery / Photo: Kenji Takahashi

同時開催の収蔵品展は、日本画など秋を感じられる作品を紹介する「秋の風景」。project Nは田中藍衣展。

田中藍衣 Your Movement 2025

「カイ・フランク展 時代を超えるフィンランド・デザイン」/2027年1月16日〜3月22日

不要な装飾を排した普遍的で機能的かつ汎用性の高いデザインで知られる、フィンランドを代表するデザイナー、カイ・フランク(1911〜89)。最小限の器で日常を豊かにするその哲学は、戦後の困難な時代にフィンランドの家庭に広く受け入れられ、現在も世界中で愛されている。本展は、ヘルシンキのアーキテクチャー・アンド・デザイン・ミュージアムが2011年に開催した回顧展をもとに、同館のコレクションを中心に構成。ガラス、磁器、ファブリック、デザイン画など約250点を通して、初期から晩年までのフランクの創作の軌跡を紹介するとともに、写真や映像資料を交えて、日本との交流や後進のデザイナーへの影響にも光を当てる。

カイ・フランク KF 486ゴブレット、1968、1969-71 © Architecture and Design Museum Photo: Rauno Träskelin

同時開催の収蔵品展は、「物質」と向き合ってきた作家たちの実践を紹介する「物質的恍惚」。project Nは菅原果歩展となる。

菅原果歩 飛島滞在記フィールドノート 2021-2022 山形県の離島・飛島にて 2021

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