藤田嗣治 猫の教室 1949 軽井沢安東美術館 © Fondation Foujita / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2025 G3942
日本美術において数多く描かれてきた猫の姿。その中でも近代洋画の猫は、独特のモダンさや素朴さをまといながら、多彩な表現を生み出してきた。本展「フジタからはじまる猫の絵画史 藤田嗣治と洋画家たちの猫」では、藤田嗣治が1920年代のパリで「乳白色の裸婦」とともに描いた猫を起点に、日本洋画における猫のモチーフの広がりを紹介する。府中美術館で9月20日から12月7日まで開催される。
藤田にとって猫はたんなる伴侶となる存在だけではなく、自身を印象付けるサインのようなモチーフだった。自画像に繰り返し描き入れたりするなど、猫は藤田の作風を象徴する存在となっていった。その後、日本の洋画家たちは藤田から影響を受けつつ、西洋とは異なる日本独自の猫表現を模索していくことになる。
本展では、西洋絵画や日本画の先行例を含め、26人の作家による83点の作品を展示。藤田の猫から出発し、洋画家たちが猫をどのように描き、伝統と革新のはざまで表現を拓いてきたかをたどる。会期中には学芸員による講座や公開制作も予定されており、多面的に「猫の絵画史」を体感できる機会となるだろう。