2024年のターナー賞のファイナリストが発表された。今年度は、ピオ・アバド(Pio Abad)、クローデット・ジョンソン(Claudette Johnson)、ジャスリーン・カウル(Jasleen Kaur)、デレーヌ・ル・バス(Delaine Le Bas)の4名。
世界でもっとも有名な賞のひとつであるターナー賞。1984年に設立され、画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー (1775~1851)にちなんで名付けられた同賞は、優れた展覧会を開催したイギリスのアーティストに授与され、最終候補者に1万ポンド、受賞者に2万5000ポンドが授与される。これまでに、アニッシュ・カプーア、アントニー・ゴームリー、ダミアン・ハースト、ヴォルフガング・ティルマンス、マーク・レッキーなどが受賞している。
オックスフォードのアシュモレアン美術館での個展「暗闇に座っている人たちへ(To Those Sitting in Darkness)」がノミネートされたピオ・アバド。文化の喪失と植民地の歴史を考察した展覧会では、オックスフォード美術館の工芸品を描写、並置、変形させたドローイング、エッチング、彫刻を通して、これまで見過ごされてきた歴史を強調する。
ロンドンのコートールド・ギャラリーでの個展「プレゼンス(Presence)」とニューヨークのオルチュザー・プロジェクツでの「ドローン・アウト(Drawn Out)」がノミネートされたクローデット・ジョンソン。西洋美術史における黒人の疎外に対抗し、パステル、ガッシュ、水彩を組み合わせた存在感のある家族や友人のポートレートを描いた。
ジャスリーン・カウルは、グラスゴーのトラムウェイでの個展「Alter Altar」がノミネート。 家族の写真、アクスミンスター織りのカーペット、巨大なレースの敷物で覆われたヴィンテージのフォードエスコート、躍動的なハンドベルなどのオブジェクトを通して、グラスゴーのシーク教徒コミュニティでの自らのルーツを表す。
「私の人生は、今ここから始まる(Incipit Vita Nova)」がノミネートされたデレーヌ・ル・バスは、ギャラリーをペイントされた布地が吊るされ、舞台衣装や彫刻で満たされた没入型のパフォーマンスに。ロマ族の豊かな文化史と神話への関心をもとに、祖母の死からインスピレーションを得て、死、喪失、再生というテーマを作品にした。
ターナー賞の40周年を記念して、ファイナリストの展覧会は、6年ぶりにテート・ブリテンで行われる。会期は9月25日~2月16日まで。受賞者は、12月3日に同会場で開催される授賞式において発表される。