公開日:2025年7月14日

国立ハンセン病資料館で初の「戦争」をテーマとした展覧会、「戦後80年―戦争とハンセン病」が開催

ハンセン病患者と回復者の戦争をめぐる記憶に触れる。会期は7月19日〜8月31日

「戦後80年―戦争とハンセン病」チラシ

東京・東村山市の国立ハンセン病資料館で、展覧会「戦後80年―戦争とハンセン病」が開催される。会期は7月19日から8月31日まで。

国立ハンセン病資料館は、ハンセン病問題に対する正しい知識の普及や、啓発による偏見・差別の解消、患者・元患者とその家族の名誉回復を図ることを目的に設立された施設。1993に開館した「高松宮記念ハンセン病資料館」を前身とし、2007年に規模を拡大して「国立ハンセン病資料館」に名称を改め、再開館した。

立花誠一郎、広島から満州へ 1942 しょうけい館蔵

「戦後80年―戦争とハンセン病」は、同館として初めて「戦争」をテーマに取り上げる展覧会。戦争をめぐる記憶に触れ、それを継承することで、人権が尊重され、病いと障がいを理由とした差別が繰り返されることのない社会の実現を願って企画されたという。主催は、国立ハンセン病資料館としょうけい館(戦傷病者史料館)。

日本植民地時代の小鹿島の療養所で使われた焼きごて。拷問の道具として使われ、入所者の肩や額に押し当てたと伝えられている 2005 八重樫信之撮影 提供:『絆―らい予防法の傷痕』人間と歴史社

日本における戦争とハンセン病の歴史を見ていくと、戦争がハンセン病患者の隔離を強化し、隔離下の被害をより深刻化させたことがわかる。本展では、「戦時下のハンセン病療養所」「日本植民地下の療養所」「沖縄戦」といったテーマに基づき、関連資料を展示する。加えて、従軍中にハンセン病を発症し、ハンセン病療養所への入所を余儀なくされたハンセン病回復者が、戦争と隔離というふたつの苦難を生き抜いた経験をたどる。

花誠一郎がカウラ収容所時代に作ったトランク 1945頃 しょうけい館蔵
薬莢でつくった灰皿 1945以降 沖縄愛楽園
着物を裂いて作った包帯 年代不明 全生病院

会期中は、しょうけい館学芸員の半戸文と国立ハンセン病資料館の吉國元によるトークイベントや、しょうけい館の語り部による講話会などの関連イベントも実施する。

沖縄愛楽園水タンクの拓本

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