会場風景
六本木の21_21 DESIGN SIGHTでは、7月4日から11月3日まで、企画展「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」が開催される。ディレクターを務めるのはビジュアルデザインスタジオのWOW。
災害大国と呼ばれる日本で生活する私たちにとって、自然災害は無縁ではいられない存在。本展では、災害とはなにかという視点から、これまでの地震や水害のデータビジュアライゼーションをはじめとしたリアルな状況把握や、防災に関するプロダクト、災害をきっかけに生まれたプロジェクトなど、人々が直面してきた自然災害を広く見つめ直す。また各地に残る災害に関する言い伝えや今後の可能性に目を向けた研究など、過去から現代、そして未来にいたるまでの災害への向き合い方もひもとく。
会場には10の「問い」が散りばめられ、来場者は自分自身の防災や災害への向き合い方を主体的に考えながら作品を鑑賞できる。さらに特設サイトから自身のスマートフォンを通して自分なりの「答え」を送信でき、その一部は映像作品として会場に展示される。
展示内容は多岐にわたる。会場に入ってすぐ、越村俊一、にゃんこそば、株式会社ヤマップ、パノラマティクス+ Eukarya、日本経済新聞社などが参加するインスタレーションに出会う。ここではデータビジュアライゼーション、災害が描かれた絵図、グラフィックなどの様々な視覚表現から、日本や地球が経験してきた災害を振り返ることができる。
柴田大平やsiro+石川将也による防災や災害に対する心構えを見つめ直す体験型の新作インスタレーション2点も見どころのひとつ。たとえば、テーブルに並べられている積み木セットに注目してほしい。自由に組み立てられるが、10分に1度「そのとき」が来て、すべてが崩れる。災害を予期することが不可能だが、それに備えることの大切さを教えてくれる作品だ。
続く展示室では災害時の通信手段の断絶に対処するための研究や、スピーディーな情報発信を担う仕組み、混乱期のその後の生活と心を支えるための試みなどが紹介される。KDDI株式会社、WOTA株式会社、日本郵便株式会社+寺田倉庫株式会社などの取り組みから、防災の「いま」と「これから」を考えていく。
災害が起きた場所の風土や人と向き合い制作された佐竹真紀子の作品、震災から生まれ世界に広がったものづくりのデザイン、「毎日災害が起こる可能性を忘れない」という意識を伝え続ける取り組みなど、「そのとき」の先にある希望を見つめる作品群も興味深い。
最後に樹々の生態系と人間がともに歩む防災や、自らを守る最後の砦としての「服」など、普段目にするまちの防災機能とは異なる視点から、私たちを守るものについて思考する作品も並ぶ。
たとえば、津村耕佑による「FINAL HOME」の衣服にたくさんのポケットが付いており、詰めるものを考える余白が存在する。非常食や水の持ち歩き、あるいは新聞紙を詰めてダウンジャケットのように使うことができ、非常時に必要とされる対応力を育てるアイテムとも言える。
災害が起きたときにあなたはどうする? WOWが仕掛ける体験型展示で、防災を問い直してみてはいかがだろうか。