2021年3月から大規模改修工事を行い、今年3月から開催された「第8回横浜トリエンナーレ『野草:いま、ここで生きてる』」でリニューアルオープンした横浜美術館。その後、11月1日から部分開館していたが、2025年2月8日にいよいよ全館オープンを迎える。
2025年2月8日〜6月2日に行われるリニューアルオープン記念展は、「おかえり、ヨコハマ」。蔵屋美香が2020年に横浜美術館館長に就任してから初となる、自身の企画による展覧会だ。
本展では、同館のコレクションを新たな視点で紹介するほか、横浜市歴史博物館、横浜開港資料館、横浜都市発展記念館、横浜市民ギャラリーなど、主に横浜市内の施設が所蔵する作品や資料も展示。ポール・セザンヌ、パブロ・ピカソ、ルネ・マグリット、奈良美智など、近代美術の名作から現代美術の作品までを楽しむことができる。
作品を読み解くキーワードは「横浜」、そしてリニューアル後の同館の活動理念の柱である「多様性」。企画を手がけた蔵屋のステートメントによると、展示タイトルの「おかえり、ヨコハマ」には、「3年ぶりに横浜美術館が帰ってきた」という意味と、「異なる時代にいろいろな地域からやってきて横浜に暮らした(あるいは現在暮らす)さまざまな人たちを、あらためて『おかえり』と言って迎え入れたい」という希望が込められている。横浜にまつわる作品のなかでこれまであまり注目されることのなかった、開港以前の横浜に暮らした人々や女性、子供、様々なルーツを持つ人々などにあらためて光を当て、横浜の歴史に新たな発見をもたらすという。
展示は「みなとが、ひらく前」「みなとを、ひらけ」「ひらけた、みなと」「こわれた、みなと」「また、こわれたみなと」「あぶない、みなと」「美術館が、ひらく」「いよいよ、みなとが、ひらく」の8章で構成。横浜開港以前や1859年の開港、関東大震災や空襲、戦後の占領下から高度経済成長期、そして横浜美術館の開館から現在までの横浜の様子や時代ごとの表現を、多様な作品と資料で辿る。
さらにアーティストの檜皮一彦に委嘱した新作も披露。また会場には、子供も一緒に作品を楽しめる「子どものギャラリー(仮称)」が登場し、親子で話しながら鑑賞する機会も設けられる。
なお、本展以降の企画展は、「佐藤雅彦展(仮称)」が2025年6月28日〜11月3日、「日韓現代美術展(仮称)」が12月6日〜2026年3月22日に開催される。