展覧会に足を運んだら、ほしくなるのがミュージアムや展覧会のオリジナルグッズ。Tokyo Art Beatの記事でも「美術館のグッズ」シリーズは大人気です。最近のグッズは凝ったものが多く、クスッと笑えるウケ狙いのものから、日常使いしたくなるデザイン性に優れたものまでじつに様々。今回はそんなグッズのど定番、トートバッグのなかから私が愛用しているものをご紹介します。
どのトートをいちばん使い込んできたかというとこれ。
10年近く前、香港のM+のオープン前に、アート・バーゼル香港のプレスツアーの一環でM+の準備展を訪問した際にプレス資料を入れて配られたもの。プレスはありがたいことに、内覧会や記者会見などの機会にトートバッグを頂くことが多く、もちろん自分でも買うのでトートが増えがちです。
そんな数あるトートでも、丈夫・大きい・使いやすいの三拍子が揃ったこのトートは、タフな使い方をしても安心感抜群で、百戦錬磨の猛者。小さい内ポケットも付いてるし、パソコンや書籍、資料をどさっと入れても大丈夫。肩に食い込みづらい、ずり落ちづらいのもありがたい。私が乳幼児と暮らしていた時期は、オムツや着替えをパンパンに詰め込んで出掛けていました。ヘビロテしすぎで色は褪せてきていますが、あと10年は保ちそう。TABの田原も色違いを使っているのを見たことがあります。
丈夫さ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
使いやすさ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
ビジュ ⭐︎⭐︎⭐︎
素敵ですね!と声かけられる率No.1はこちら。韓国にあるナムジュンパイクアートセンターのグッズです。
韓国の縞々模様の生地セットンに、ナムジュンパイクの名前がどーんとあしらわれていて、お気に入りのトートです。アートフェア会場などで同じトートを持っている人を見かけて親近感を抱くことも。
買った当初からちょっと紐が綻びてるのは“味”としても、生地が薄くて重いものを入れると肩紐と本体の部分が千切れそうなので、基本的には羽織りものなど軽いアイテム+必需品を入れるくらい。トートにしてはかなり大判なものの、耐久性はちょっと惜しい。
丈夫さ ⭐︎⭐︎
使いやすさ ⭐︎⭐︎⭐︎
ビジュ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
去年、ロンドンのテート・ブリテンで買ったエコバック。ミュージアムグッズではないですが、日本での「ヒルマ・アフ・クリント展」を前に期待に胸を膨らましていたタイミングだったので迷わず購入。折りたたんで小さいポーチに収納できるので、出張時にサブバッグとして携帯したりしています。
ただ、欲を言えば折りたたみ式のエコバッグは、この小さい付属ポーチがポケットとして本体にくっついているタイプ(ありますよね)が、ずぼら人間としては使いやすい。あれ、ミニポーチどこいった⁉︎と焦りがちなので。まあ可愛いからいいんですが。ヒルマ・アフ・クリントはグッズ映えしますね。それが近年の再評価における人気の理由のひとつかも、と思ったり。
丈夫さ ⭐︎⭐︎⭐︎
使いやすさ ⭐︎⭐︎⭐︎
ビジュ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
アーティゾン美術館「オーストラリア現代美術 彼女たちのアボリジナル・アート」展を機に発売された、ノンギルンガ・マラウィリ《ボルング》をあしらったフラットバッグ。アーティゾン美術館のトートは毎回気が利いていて、シンプルながら世代やジェンダーを問わないデザインもいいし、撥水で雨の日に使いやすかったり、丈夫だったりで重宝しています。アーティゾン美術館の、美術館としての開かれた姿勢や懐の深さが、グッズにも表れていると感じて毎回感動します。
丈夫さ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
使いやすさ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
ビジュ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
私がかねてからオリジナルグッズをたくさん作ってほしいと思っていたアーティストが山崎つる子。色使いが美しくポップなその作品は、グッズ化するのに抜群のポテンシャルがあると思います。何年か前、芦屋市立美術博物館のグッズショップで1点だけ残っていたTシャツを見つけたときは嬉しかったけれど、それ以外はなかなかお目にかかる機会がなかったところ、「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」展では田中敦子作品とともにグッズ展開されていました! こちらのトートは豊田市美術館で購入したニューカマーです。
願わくば、山崎つる子の2000年代以降の「Work」シリーズも、とても美しいのでポスターやグッズ展開してほしい。ヒルマ・アフ・クリントに負けないくらいグッズ映えすると思うんです。どなたかもっといろんなグッズを制作してくれないでしょうか。買わせてください!
丈夫さ ⭐︎⭐︎⭐︎
使いやすさ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
ビジュ ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
ミュージアムやグッズ制作スタッフの方々の創意工夫が発揮されれるフィールドのひとつであり、鑑賞者が「使う」という行為を通してミュージアムの活動に参加するツールにもなり得るトートバッグ。ときにそのクオリティから運営側の懐事情がなんとなく察せられてしまうこともありつつ、ミュージアムや展覧会の哲学や魅力をも体現する、そんな存在なのではないかと思っています。
福島夏子(Tokyo Art Beat編集長)
福島夏子(Tokyo Art Beat編集長)