舞台芸術祭「秋の隕⽯2025東京」 オープニングプログラム『現実の別の姿/別の現実の姿』
今年初開催となる舞台芸術祭「秋の隕⽯2025東京」が10月1日に開幕した。会期は11月3日まで。池袋・東京芸術劇場を中心に、国内・海外の多様なアーティストらによる「上演プログラム」 、レクチャーやワークショップなどの「上演じゃないプログラム」 、その両方を支える「ウェルカム体制(=来場サポートのこと)」の3つが展開される。
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アーティスティック・ディレクターは国内外で活躍する演劇作家、小説家/チェルフィッチュ主宰の岡⽥利規。
開幕日となる10月1日は、オープニングプログラム『現実の別の姿/別の現実の姿』が開催。岡田がコンセプトを手がける野外パフォーマンス作品で、『ハンチバック』で芥川賞を受賞した小説家の市川沙央、ライターでYouTuberのダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)、振付家の手塚夏子が手がけた3つのインストラクション(指示)をもとに、パフォーマーたちが池袋の劇場前広場でパフォーマンスを行った。音楽はDJ/プロデューサーokadadaが担当。
また、先日愛知公演にて初演を迎え話題となっている岡田の作・演出によるダンス作品兼演劇作品『ダンスの審査員のダンス』が東京で初めて上演された(10月1日〜5日まで)。
舞台芸術祭「秋の隕⽯2025東京」のキーワードは「隕石み」。岡田は1日に関係者向けに行われた「爆誕式」にて、以下のようにスピーチした。
「『秋の隕石』の名のもとに私達がオーガナイズするのは、現在の東京の、または舞台芸術界の支配的文脈の外側から飛来する隕石たちとの邂逅の場です。この場に皆さんが立会い、それが皆さんにとって、これまで得たことのない感覚を得たり、味わったことのない美学に面食らったりする機会となれば、こんなに嬉しいことはありません。私たちが身を置き、生きているこの現実、この社会、この状況。舞台芸術祭『秋の隕⽯2025東京』は、それらと対峙するべくたくらまれた、芸術のかたちをした問いかけです」(一部抜粋)
会期中はウェルカム体制として、「ウェルカムぎんが」というスペースが登場。1日は雨のため東京芸術劇場の地下1階が会場となったが、晴天時は東京芸術劇場の前にある広場が舞台となる。ここはインフォメーション・案内所の役割を果たしながら、あらゆる人を迎え入れる場所。訪れた人は当日券情報などを入手できるほか、休憩したり遊んだりできる。東京芸術劇場内にある飲食店も出店し、おにぎりやビール、カクテルなどコラボメニューが味わえる。
まずはひとりの「隕石」として、この「ウェルカムぎんが」に訪れてみてはいかがだろうか。
*舞台芸術祭「秋の隕⽯2025東京」を機に、岡⽥利規と文化人類学者の磯野真穂の対談を公開中
福島夏子(Tokyo Art Beat編集長)
福島夏子(Tokyo Art Beat編集長)