7〜8月の夏休み期間に、東京都内の美術館や博物館、ギャラリー等で開催されている、注目の展覧会をエリア別に紹介。気になる展覧会を見つけて、夏の予定づくりに役立ててほしい。
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*各展覧会の会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。
NHK Eテレで放送中の番組『デザインあneo』のコンセプトを、体験の場に展開する展覧会。3回目の開催となる今回は、子供たちにデザインについて様々な思考や発見を楽しんでもらうコンセプトはそのままに、新たなテーマの新作を展示する。「モノ」をテーマとしてきたこれまでの展覧会に対して、今回は「あるく」「たべる」「すわる」「もつ」といった行為をテーマに据え、日常における様々な行為を、デザインの視点からとらえ直す。詳細はレポートをチェック。
会場:TOKYO NODE
会期:4月18日〜9月23日
スタジオジブリ作品の魅力を立体造型で再現する展覧会が、22年ぶりに東京で開催中。『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『平成狸合戦ぽんぽこ』『耳をすませば』といった名作群の印象的な場面が、精緻な造型物として会場に立ち現れる。さらに、宮﨑駿監督が2002年に手がけた短編アニメーション『空想の空とぶ機械達』の特別上映も実施。映像と造形の交差によって、ジブリ世界の奥行きを体感できる空間が広がる。レポートを公開中。
会場:寺田倉庫B&C HALL/E HALL
会期:5月27日〜9月23日
女性を優麗に描いた喜多川歌麿、劇的な役者絵で人気を博した東洲斎写楽、風景・花島・人物など神羅万象を独自に表現した葛飾北斎、名所絵を中心に浮世絵に新風を吹き込んだ歌川広重、ユーモラスな画風で存在感を発揮した歌川国芳。本展では、美人画や役者絵、風景画といった各分野で人気を博した、江戸時代の5人の浮世絵師にフォーカスし、その代表作を中心に、約140点が紹介される。詳細はレポートをチェック。
会場:上野の森美術館
会期:5月27日〜7月6日
パリのオランジュリー美術館が、ピエール=オーギュスト・ルノワールとポール・セザンヌというふたりの印象派・ポスト印象派の画家に、初めて同時にフォーカスし、企画・監修をした世界巡回展。三菱一号館美術館が日本唯一の会場となる。ルノワールの代表作《ピアノを弾く少女たち》やセザンヌの代表作《画家の息子の肖像》をはじめとし、ふたりの巨匠による肖像画、静物画、風景画、そして、ふたりから影響を受けたピカソを加え約50点の作品から、モダン・アートの原点を探る。レポートはこちら。
会場:三菱一号館美術館
会期:5月29日~9月7日
石橋財団が長年にわたり収集してきたオーストラリア現代美術のなかから、初めて女性アボリジナル作家に焦点を当てた展覧会。国際的に再評価が進むアボリジナル・アートの動向とも呼応し、地域に根ざした多様な表現を紹介する。所蔵作家4名を含む、計7名と1組の作家による作品を通じて、オーストラリア先住民美術への理解を深めるとともに、現代アートとしての魅力を再発見する機会となる。レポートはこちら。
会場:アーティゾン美術館
会期:6月24日〜9月21日
藤田嗣治の絵画制作を、「写真」を通じて再考する展覧会。世界中を旅した藤田は、生涯にわたって数千点におよぶ写真を残した。本展では、藤田の絵画に現れる写真の断片を探り当て、写真活用のプロセスを検証するとともに、日本とフランス・エソンヌ県に現存する彼の写真を多数紹介し、藤田の知られざる魅力に迫る。また、写真と絵画によって重層的かつ巧妙に演出された藤田自身のイメージにも注目。「描くこと」と「撮ること」を行き来した「眼の軌跡」を追いかけ、これまでにない語り方で藤田を紹介する。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:7月5日~8月31日
開幕前からSNSで話題となった、ジェンダーと広告にまつわる展覧会。日本で唯一の広告を専門としたミュージアムに、ジェンダーギャップの問題に立ち向かった広告事例約60点が大集合した。展示構成は「声をあげてみる」「問いかけてみる」「決めつけをやめてみる」「新しくしてみる」など、問題に対するアプローチごとに区切られている。レポートを公開中。
会場:アドミュージアム東京
会期:6月25日〜8月30日
絵画的な表現を持った陶芸作品や絵画から影響を受けた陶芸などを「ピクチャレスク陶芸」ととらえ、20〜21世紀の日本の陶芸を横断的に紹介する。民藝からうつわ、伝統工芸、前衛陶芸、コンテンポラリーまでを含む約80点が集結。アートの視点から日本近現代陶芸史の一面を俯瞰する。
会場:パナソニック汐留美術館
会期:7月12日〜9月15日
ダンケルク(フランス)にあるフランスの現代美術地域コレクションFRAC Grand Large(フラック・グラン・ラルジュ)が所蔵する作品を紹介。<社会的身体>をテーマに、ヨーロッパ(フランス、イギリス、ベルギー、イタリア、ギリシャ、ルーマニア)、アメリカ、日本出身の13人のアーティストによる、1973年から2025年までの作品が揃う。アートによってもたらされる日常や秩序の可変性に着眼しつつ、個人あるいは集団的に機能する社会的な身体について考察する。
会場:銀座メゾンエルメス
会期:7月19日〜10月12日
スウェーデン国立美術館のコレクションにフォーカスする本展では、ルネサンスからバロックまでの名品約80点を選りすぐって紹介。素描とは、木炭やチョーク、ペンなどを用いて対象の輪郭、質感、明暗などを表現した線描中心の平面作品を指すが、環境の変化や光、振動などの影響を受けやすいため、通常、海外で収蔵されている素描作品を日本で公開することは難しい。スウェーデン国立美術館の素描コレクションがこれほどまとまった数で来日するのは初めての機会となる。ニュースはこちら。
会場:国立西洋美術館
会期:7月1日〜9月28日
現在の皇居にあたる江戸城には、かつて将軍の後宮「大奥」が存在していた。御台所や側室、女中たちが暮らしたその世界には、徳川家という巨大な権力のもとで生きた女性たちの栄枯盛衰が浮かび上がる。いっぽうで、壁書や女中法度といった規則に縛られた閉ざされた日常のなか、彼女たちはそれぞれの人生における喜びや悲しみを抱えていた。本展では、芝居やドラマで描かれる華やかなイメージとは異なる、大奥の知られざる素顔に、貴重な史料やゆかりの品々を通して迫る。
会場:東京国立博物館
会期:7月19日~9月21日
戦前から画業を始め、戦後は日本の抽象絵画のパイオニアとして足跡を残した難波田龍起。海外から流入する動向を咀嚼しながらも、情報に流されたり特定の運動に属したりすることなく、独自の道を探求した。難波田の生誕120周年を機に行われる本展では、同館収蔵品に加え、全国の美術館の所蔵品、個人像の作品なども交え、難波田の画業の全貌を振り返り、今日的な視点から検証する。
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:7月11日〜10月2日
2022年に死去した映画監督ジャン=リュック・ゴダールの最後の長編作品であり、カンヌ国際映画祭で「スペシャル・パルムドール」を受賞した『イメージの本』(2018年公開)を映像インスタレーションとして再構成する展覧会。2010年の映画『ゴダール・ソシアリスム』から撮影・音響・編集を手がけ、晩年のゴダールの右腕であったスイスの映画作家ファブリス・アラーニョがアーティスト/キュレーターとして参加し、ゴダールとのコラボレーションを経て企画設計した展覧会だ。これまでドイツやスイスなどで行われており、日本では初開催となる。詳細はレポートをチェック。
会場:王城ビル
会期:7月4日~8月31日
東京とパリ、深圳に設計事務所を構え、個人住宅から大学、商業施設、ホテル、複合施設まで、世界各地でプロジェクトを展開している建築家の藤本壮介。本展は、藤本にとって初の大規模な回顧展であり、活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで主要作品を多数紹介し、四半世紀にわたる建築家としての歩みや建築的特徴、思想を概観する。模型や設計図面、記録写真に加えて原寸大模型やインスタレーションなども展示に含まれる。詳細はニュースをチェック。
会場:森美術館
会期:7月2日~11月9日
高畑勲の生誕90年、そして太平洋戦争終戦から80年という節目の年に開催される本展は、スタジオジブリの企画協力のもと、その創作の原点に迫る回顧展である。『アルプスの少女ハイジ』などスタジオジブリ以前のキャリアから、戦争を描いた『火垂るの墓』、最後の傑作『かぐや姫の物語』まで、高畑が築いたリアリズムと人間描写の系譜をたどる。アニメーションに対する独自の哲学や演出手法、表現の進化を通して、日本アニメーションの礎を築いたその軌跡を浮き彫りにする。詳細はレポートをチェック。
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
会期:6月27日〜9月15日
「ムーミン」の生みの親であり、絵画や風刺画、マンガ、絵本、小説など多方面に才能を発揮したアーティスト、トーベ・ヤンソンの創作世界に迫る展覧会。初期の油彩画や第二次世界大戦期の風刺画、『ムーミン』小説やコミックスの原画、スケッチ、愛用品など約300点を展示。絵画や文学、マンガといった多彩な表現を通じて、トーベの芸術家としての歩みと人生に迫る。ムーミンに込められた深いメッセージを読み解く貴重な機会となる。詳細はニュースをチェック。
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:7月16日〜9月17日
昭和初期のアール・デコ様式をいまに伝える旧朝香宮邸は、1933年に竣工した国指定重要文化財である。本展は、年に一度の建物公開展として、建築空間の機能とその変遷に焦点を当てるものである。朝香宮家の邸宅としての14年間、吉田茂元首相が政務の場として活用した7年間、国の迎賓館として、数々の国賓をもてなした19年間、民間の催事施設として、多くの人々に開かれた7年間、そして美術館としての42年間など、時代ごとに建物がどのような機能や役割を果たし、人々と共生してきたのかを探る。各時代を彩るゆかりの作品や写真・映像資料を通して、建物の記憶をひもとく。レポートはこちら。
会場:東京都庭園美術館
会期:6月7日〜8月24日
欧米での個展の開催やドキュメンタリー映画の発表など、近年国際的に注目されるイタリアの写真家、ルイジ・ギッリ。その類稀な色彩、空間、光への美的感覚と、ありふれたものをユーモラスに視覚化する才能により、写真表現を新たなレベルへと引き上げた。本展は、ギッリによるアジア初の美術館個展となる。
会場:東京都写真美術館
会期:7月3日〜9月28日
日本を代表する造形作家であるとともに、建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発などの幅広い表現領域を手がけ、さらには文化全般にわたる批評家としても活躍してきた岡﨑乾二郎の核心に迫る東京における初の大規模な展覧会。近年国際的な評価も高まる岡﨑が大きく転回した2021年以降の新作を中心に、過去の代表作も網羅しつつ、世界認識の方法としての造形の可能性と力を提示する。展示の様子はこちらのフォトレポートから。同期間に「開館30周年記念 MOTコレクション 9つのプロフィール 1935→2025」展も開催中。
会場:東京都現代美術館
会期:4月29日〜7月21日
今年開館30周年を迎える東京都現代美術館が、より多様化する社会のなかで、美術館が果たす役割を問い直す記念展を開催。本展では、ある場所や空間がどのような力学でかたち作られ、変容するのか、それはどのように人々の生き方に影響するのかを、幅広い視点から探求する作品を紹介する。会期中は若手アーティストらによるパフォーマンスやワークショップ、ツアーなども行う予定。詳細はニュースをチェック。また、同期間には「笹本晃 ラボラトリー」展も開催される。
会場:東京都現代美術館
会期:8月23日〜11月24日